LaTeX/LaTeXの基本/LaTeX使用上の基礎知識
ここではLaTeXの基礎的な知識について説明します.エラーを訂正したり,希望通りの出力を得るために,適宜参照してください. 1.5.1 LaTeXの特殊文字特殊文字の出力方法LaTeXにはコマンドの先頭を示す`\'やコメントアウトを行う `%'など,多くの特殊文字が存在します. これらの文字はそのままでは出力できないので注意してください.特殊文字の一覧,及び出力方法は2.1.4を参照してください. コメントアウトソースファイル中に`%'を記述すると,その行の`%'以降は本文として認識されません.これをコメントアウトと呼びます.これによりソースファイル中にコメントを書き込めます.次に例を示します.
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1 はじめに
私達は常に他人と何らかの関係を持たざるを得ません.実際,私達は次のよう 1.5.2 半角空白LaTeXでは,ソースファイル中に連続して半角空白を記述しても,整形後の文書イメージには半角空白1個分の空白しか挿入されません.つまり,文書イメージに意図的に余白を挿入したい場合でも,ソースファイル中に記述した半角空白は基本的には意味をなしません.
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ソースファイル中の半角空白はどんなに たくさん入れても半角空白1個分にしかなりません. これは文書が英文でも同じです.
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Many spaces are equal to one space in LaTeX. LaTeXではソースファイルの記述の仕方に関わらず,ページ単位で最適な大きさの余白を自動的に挿入し文書イメージの体裁を整えるので,基本的にはユーザが細かな空白調節をすることはできません.任意の大きさの空白を挿入する方法については2.2を参照してください.
全角空白1個は漢字1文字として扱われるため,半角空白とは表示が異なります.ソースファイル中に全角空白を記述した場合は,ちょうど漢字1文字分の空白が整形後の文書イメージに挿入されます.
LaTeXにおけるコマンドの終端や英単語の終端を表す半角空白は``デリミタ(delimiter)''と呼ばれます.デリミタのうち,コマンド終端のものは整形後の文書イメージでは無視され,単語間のものは自動的に必要な分の空白に展開されます.半角文字と全角文字の間には半角空白を入れる必要はありません.この場合,LaTeXは半角文字と全角文字との間に``4分空き''と呼ばれる全角の4分の1の空白を自動的に挿入します.
1.5.3 コマンド,環境,グルーピングLaTeXには文書整形の制御を指示する方法として,コマンド,環境,グルーピングという3つの方法があります.ここではこの3つの考え方について簡単に説明します. コマンドLaTeXのコマンドは文書整形を指示するための最も基本的な方法であり,コマンド以降の文書全体に対して必要な整形処理を行います.コマンドは基本的に`\'ではじまる文字列で記述します.LaTeXは処理中に`\'ではじまる文字列を見つけると,特に指示がない限りコマンドとして解釈し,それ以降の文書に対して必要な整形処理を行います.この際LaTeXは半角空白やタブ,改行の前までをコマンドとして認識するため,コマンド文字列の直後に区切りとしてこれらの文字を挿入する必要があります. ここでは\largeコマンドを例にとって説明します.
\largeコマンドはそれ以降の文書をひとまわり大きい文字で整形するためのコマンドです.しかし,この例では \largeとThisの間に空白が存在しないため,本来ならば\largeとして認識されるべきコマンドを\largeThisというコマンドとして認識してしまい,エラーとなります. これを回避するためには,コマンド文字列の直後に空白を挿入することによってコマンドの終端を認識させます.
これでコマンド`\large'と単語`This'が区別され,LaTeXは正しくコマンドを認識できるようになります.これは和文でも同様です.
この場合は最初の`.'の後まで空白が存在しないため,LaTeXは`
これで`\large'がコマンドとして正しく解釈されるようになります.
全角空白は漢字1文字として扱われるため,デリミタとしては機能しません.またLaTeXは小文字,大文字,および全角,半角をすべて区別します.例えばコマンド\large,\Large,\LARGEはすべて別のコマンドです.
環境
環境とは 次にsmall環境とlarge環境を用いた具体例を示します.
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では実験してみましょう.ここはsmall環境のなか.ここはlarge環境のなか.large環境を抜けたところ.これで元に戻ります.
\begin{small}と\end{small}で囲まれた範囲は\small環境となり,文字が小さく整形されます.またこの例ではsmall環境内でさらに large環境を用いているので,その範囲ではlarge環境となります.このように環境が入れ子構造になっている場合は内側で定義されたものが優先されます. LaTeXでは一般的に\begin{環境名}で環境の始まりを指定することを``環境を開く''と呼び,\end{環境名}で環境の終わりを指定することを``環境を閉じる''と呼びます.
環境は開いた反対の順に閉じなければなりません.例えば先の例においてlarge環境を閉じる前に
small環境を閉じてしまうとエラーとなります.また環境の中に何も書いていない場合もエラーとなることがあるので注意してください.
グルーピング
グルーピングは,環境同様にコマンドの有効範囲を指定して整形を行う方法です.グルーピングでは,中括弧
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では実験してみましょう.
ここはlargeグループの範囲内です.グループの中では文字が大きく整形されます.入れ子構造にすると内側のグループが優先されます.
1つのグループを閉じた後はそのグループを開く前の状態に戻ります.
これで完全に元の状態に戻ります.
コマンドや環境,グルーピングで用いられる`\'や中括弧`{ }'はすべて半角文字です.またキーボード上に`\'がない場合は`'を用います.`\'と`'はキーの刻印と画面での表示が異なるだけで,実際にはまったく同じものとして扱われます.
1.5.4 モードLaTeXはいくつかのモードを持っており,モードごとに異なったルールに基づいて文書整形を行います.モードはLaTeXのコマンドや環境によって変化します.
テキストモード普通に文書を記述するためのモードです.1行の長さが決められており,越えると自動的に改行されます.通常の文書整形はこのモードで行われます.
L-Rモード文書を左から右へ改行をせずに出力するモードです.\verb,\underlineなどのコマンドや,tabular環境で適用されます.
数式モード数式を記述するためのモードです.半角英数字はmathitalic体になります.詳しくは市販の参考書を参照してください.
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