LaTeX/LaTeXの基本/LaTeXによる作業のながれ

1.1に示す通り,LaTeXによる文書整形の手順は大きく分けて10のステップがあります.図1.1のうち実線に沿った手順が基本となり,状況に応じてエラーを取り除いたり,修正,調整をするなどして文書を整形します.また破線に沿った手順で完成した文書の一部を切り出したり,縮小できます.このようにして完成した文書イメージを印刷することによって,LaTeXによる文書整形が完了します.


図 1.1:LaTeXによる文書整形の手順
図 1.1:LaTeXによる文書整形の手順


1.3.1 ソースファイルの作成

LaTeXを利用するには,文書に加えてLaTeXに文書整形の指示を与えるための``コマンド''1.5.3をファイルに記述する必要があります.このようなファイルをLaTeXの``ソースファイル''と呼びます.ソースファイルはEmacs のようなテキストエディタを利用して作成します.ソースファイルの具体的な作成方法については,1.4を参照してください.

1.3.2 LaTeX処理をする

ソースファイルから文書の整形イメージを作成するには,LaTeX処理を行う必要があります.LaTeX処理を行うにはplatexコマンドを実行します.

% platex [texファイル]<RET>


platexコマンドによってソースファイルの内容がLaTeX処理され,整形された文書イメージがdviファイルに書き込まれます.

% platex report.tex<RET>
This is pTeX, Version p2.1.5, based on TeX, Version 3.14159(JIS)(Web2c 7.0)
(report.tex
pLaTeX2e <1997/07/02>+1 (based on LaTeX2e <1996/12/01> patch level 0)
(/usr/local/share/texmf/tex/platex/base/jarticle.cls
Document Class: jarticle 1998/10/13 v1.1n Standard pLaTeX class
(/usr/local/share/texmf/tex/platex/base/jsize10.clo)) (report.aux) [1]
(report.aux) )
Output written on report.dvi (1 page, 216 bytes).
Transcript written on report.log.
% _

再びプロンプトが表示されれば処理が成功したことを表します.プロンプトが表示されない場合には,ソースファイルに問題があり``エラーモード''1.6に入っている可能性があります.エラーモードから復帰する方法については,1.6を参照してください.

1.3.3 dviファイルの出力確認

LaTeX処理が成功すると,文書の整形イメージがdviファイルに書き込まれます.このdviファイルを画面に表示することで,希望通りの出力が得られているかどうかを確認できます.これを``プレビュー''(preview)と呼びます.CNS ではxdviコマンドを実行してdviファイルのプレビューを行います.

% xdvi [dviファイル] &<RET>

xdviのウィンドウ上のボタンの機能は表1.1の通りです.それぞれのボタンはキーボードでも操作できます.また,ウィンドウの右端にある番号をマウスの左ボタンでクリックすることで,その番号のページを表示できます.画面からはみだして表示されない部分を見るには,ウィンドウ上部と左部にあるスクロールバーをマウスで操作します.またページ表示領域内をマウスでクリックするとページの一部分を拡大できます.拡大される領域は左ボタン,中央ボタン,右ボタンの順に大きくなります.


図 1.2:xdvi
図 1.2:xdvi


表 1.1: xdviウィンドウ上のボタン
ボタン キー操作 機能
Quit q xdviを終了する
Abort   xdviを強制終了する
File C-f 表示するdviファイルを新たに指定する
Help H ターミナルウィンドウにヘルプの内容を表示する
Reread R dviファイルをもう一度読み込む
Print o プリンタを指定して印刷する
Paper t 用紙の大きさを指定する
PS C-g 貼り込んだEPSファイル(第X部 1.2)の表示,非表示を切り替える
-10p N<RET> 表示ページを10ページ戻す
-5p N<RET> 表示ページを5ページ戻す
Prev p,b,<BS> 表示ページを1ページ戻す
Next n, f, <SPACE> 表示ページを1ページ進める
+5p N<RET> 表示ページを10ページ進める
+10p N<RET> 表示ページを10ページ進める
Zoom < z 表示を縮小する
Zoom > Z 表示を拡大する

また,xdviでは起動の際に具体的なページ番号を`+'に続けて指定することで目的のページを直接表示できます.次にその書式を示します.

% xdvi +[ページ番号] [dviファイル] &<RET>

1.3.4 ソースファイルの編集,調整

希望通りの出力が得られなかった場合,プレビューを見ながらEmacsなどのテキストエディタを用いてソースファイルを編集し,再度LaTeX処理を行います.希望通りの出力が得られるまでこの作業を繰り返します.

1.3.5 dviファイルのPS形式への変換

ソースファイルを編集し,希望通りの出力が得られたら,dviファイルをCNS のプリンタで印刷できるPS形式に変換します.dviファイルのPS形式への変換には,dvi2psコマンドと出力のリダイレクションを組み合わせて行います.次に書式と実行例を示します.

% dvi2ps [dviファイル]> [PSファイル]<RET>

% dvi2ps filename.dvi > filename.ps<RET>
@(#)dvi2ps (j-version) 2.0j(beta1)
[/usr/local/share/dvi2ps/dvi2.ps][/usr/local/share/dvi2ps/font/ascfix-m.ps]
Prescanning ....................
Reading font info ...............................................
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8[figure.eps] ] [9] [10]
% _


ページ数や文書中で貼り込まれたEPSファイル名などが表示され,PSファイルが生成されます.また,A4用紙を横長(landscape)にして印刷したい場合は,次のようにPSファイルを生成します.

% dvi2ps -o landscape [dviファイル] > [PSファイル]<RET>
また次のように パイプを利用して,変換後のPSファイルを生成せずに直接プリンタで印刷できます.

% dvi2ps [dviファイル] | lpr -P[プリンタ名]<RET>

1.3.6 印刷

希望通りの文書イメージが完成したら,lprコマンドでPSファイルを印刷して ,LaTeXによる文書整形作業が完了します.

% lpr -P[プリンタ名] [PSファイル]<RET>

dviファイルを直接印刷してはいけません.印刷は必ずdviファイルをPSファイルに変換してから行ってください.もしlprコマンドでdviファイルを指定した場合には,lprmコマンドで印刷を中止してください.

印刷に際して,文書イメージの分割や縮小などを行う場合は 1.7第XII部 2.3.1を参照してください. また,基本的な印刷コマンドについては 第XII部 2.2.1を参照してください.