fvwm2のカスタマイズは,.fvwm2rcというファイルを記述することで行う..fvwm2rcファイルは設定を行っていない場合は存在しないので,設定を行うときはホームディレクトリに.fvwm2rcファイルを作成する.また,はじめて設定を行う場合はCNS標準の設定ファイル(表4.2)をホームディレクトリにコピーし,それに変更を加える方法を勧める.
図4.3にfvwm2を起動した際の画面を示す.
fvwm2のカスタマイズではウィンドウの枠の色を設定することができる.色を設定する場合は,ウィンドウの状態によって別々に設定を行う.キーボードから入力を行うことができるウィンドウを``アクティブウィンドウ''と呼び,ウィンドウを選択してアクティブ・ウィンドウにすることを``フォーカスする''と呼ぶ.アクティブウィンドウの枠の色の設定に対する書式は次の通りである(図4.4).
HilightColor ウィンドウタイトルの文字の色 ウィンドウの枠の色
標準設定ではアクティブウィンドウの枠の色は次のように設定されている,この場合,ウィンドウタイトルの色はblack,ウィンドウの枠の色はpalevioletredに設定されている.
#フォーカスされているウィンドウの色 HilightColor black palevioletred
色の指定は第X部 4.3.2に示したとおり,RGB,色の名称のどちらを用いて指定してもよい.非アクティブウィンドウの色の設定については次の各ウィンドウの設定のところで説明する.
fvwm2のカスタマイズでは,ウィンドウの外観やウィンドウに対する操作の反応を各アプリケーション別に設定することができる.設定は次の書式で行う.
Style "アプリケーション名" オプション
``アプリケーション名''はカスタマイズを行うX Window Systemを利用したアプリケーションの名前であり,具体的にはkterm,xbiff,xvなどを指す.
xbiffの設定の一例を示す.この例ではウィンドウのタイトルバーを表示しないNoTitle,仮想デスクトップを移動してもウィンドウが常に表示されるSticky,ウィンドウリストに表示させないWindowListSkipをxbiffに対して設定するようオプションに記述している.
Style "xbiff" NoTitle, Sticky, WindowListSkip
次に非アクティブウィンドウの色の設定について説明する.非アクティブウィンドウに関しての設定はアプリケーション名を*として設定する.次の例ではウィンドウタイトルの文字の色をblack,ウィンドウの枠の色を #60a0c0として設定している.
Style "*" Color Black/#60a0c0
図4.5にウィンドウの装飾に関するオプションを指定したウィンドウの例を示す.
FvwmButtonsをどこに配置するか,ボタンの色を何色にするかなどFvwmButtonsの外観の設定について説明する.FvwmButtonsの外観については次のように記述して設定する.
*FvwmButtonsFore 色の名前 *FvwmButtonsBack 色の名前 *FvwmButtonsFont フォントの名前 *FvwmButtonsGeometry 位置 *FvwmButtonsRows 1列に配置するボタンの数
FvwmButtonsForeなどのパラメータが何を指すのかを図4.6に示す.
例として,標準の設定ファイルにおけるFvwmButtonsの外観に関する記述を次に示す.
*FvwmButtonsFore Black *FvwmButtonsBack #908090 *FvwmButtonsFont -adobe-helvetica-bold-r-*-*-10-*-*-*-*-*-*-* *FvwmButtonsGeometry +1-1 *FvwmButtonsRows 3
``FvwmButtons''で使用するボタンの設定について述べる.ボタンについて設定できることは,ボタンに貼りつけるアイコンやボタンを押したときに何が起動されるかなどである.ボタンの設定に関しては次のような書式にしたがって記述する.
*FvwmButtons タイトル ボタンアイコン コマンド
タイトルはボタンに貼りつける文字であり,ボタンアイコンはボタンに貼りつけるxpm形式の画像ファイル,コマンドはボタンを押した際の動作を記述する.アプリケーションを起動したい場合はコマンドに``Exec Xクライアント名 コマンド &
''と設定する.例として,xvの設定例を次に示す.
*FvwmButtons Xv xv.xpm Exec "xv" xv &
ボタンに自分で作成した画像を貼りつけたい場合は,目的の画像ファイルが存在するパスを指定する必要がある.利用できる画像の保存形式はxpm形式,xbm形式の画像ファイルである.例として, /home/t00000tf/iconというディレクトリに画像ファイルがある場合の設定を次に示す.このとき,ディレクトリ名どうしの区切りに``:''を入れるのを忘れないこと.
PixmapPath /usr/include/X11/pixmaps/:/home/t00000tf/icon/
fvwm2では仮想デスクトップ機能(図4.2)を利用することができる.仮想デスクトップの大きさはDeskTopSizeで指定し,例えば縦3画面,横2画面にする場合は,次のように記述する.
DeskTopSize 3x2
``FvwmPager''をどこに配置するか,ページャの色を何色にするかなど``FvwmPager''の外観の設定について説明する.``FvwmPager''の外観については次のように記述して設定する.
*FvwmPagerBack 色の名前 *FvwmPagerFore 色の名前 *FvwmPagerHilight 色の名前 *FvwmPagerGeometry 位置 *FvwmPagerLabel デスクトップの名前
FvwmPagerForeなどのパラメータを図4.7に示す.
いくつのデスクトップを使用するかをModule FvwmPagerで設定する.Module FvwmPagerの設定に関する書式は次の通りである.
Module FvwmPager 0 使いたいデスクトップの数
例として3つのデスクトップを使用する場合の設定を次に示す.
Module FvwmPager 0 2 : *FvwmPagerLabel 0 SFC-CNS *FvwmPagerLabel 1 INTERNET *FvwmPagerLabel 2 UTILITIES
Module FvwmPagerLabelで,0と2を指定することにより,デスクトップナンバーが0から2までの,合計3つのデスクトップを使用することができる.またFvwmPagerLabelでそれぞれのデスクトップの名称を指定し,それぞれの用途にわけてデスクトップを使い分けることができる.3つのデスクットップを使用する設定の場合,0をSFC-CNS,1をINTERNET,2をUTILITIESと指定している.特に設定していない場合,DESK [デスクトップナンバー]となる.
ルートウィンドウでマウスをドラッグするとメニューが開く.メニューは次のような書式にしたがって記述する.
AddToMenu メニュー名 "ラベル" 機能 +"ラベル" 機能 : : +"ラベル" 機能
``メニュー名''はメニューの名前であり,自分で任意に指定することができるが,文字列に空白は含めないほうがよい.``ラベル''はメニューに実際に表示される内容である.``機能''はそのラベルの項目を選択したときに実行される内容である.メニューに複数のラベルや機能を設定したいときは,``+''を用いて続ける.
具体的な設定例を図4.8に示す.1行目では,TitleコマンドでWindow Opsを指定している.なお,Titleの次の行には自動的に境界線が引かれるようになっている.また,10行目で境界線を引くように設定している.