ウィンドウマネージャは起動された際にまず,ユーザのホームディレクトリに設定ファイルがあるかどうかを確認し,なければ標準の設定ファイルを読み込む.したがって,ホームディレクトリに設定ファイルを置くことで,自分の好みに応じた設定を行うことができることになる.fvwmの場合は.fvwmrc,fvwm2の場合は.fvwm2rcという名前の設定ファイルをそれぞれホームディレクトリに作成する.設定ファイルは新規に作成してもよいが,標準設定ファイルを自分のホームディレクトリにコピーし,手を加えていく方法を勧める.表4.2にCNS標準の設定ファイルのパスを示す.
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色の指定には2種類の方法がある.1つはRGBの16進法による表現(``#ff0034''など)であり,もう1つはshowrgbコマンドで表示される色の名前を使って(white,blackなど)を指定する方法である.
カスタマイズを行う際にはウィンドウの大きさや位置を数値で指定することがある.またカスタマイズだけではなくktermコマンドなどで-geometryオプションを用いて位置指定を行うときにも利用される.指定の方法は一般的には次のように記述する.
幅x高さ (+/-)X座標(+/-)Y座標
幅と高さの単位は通常はピクセルだが,ktermのように表示することができる文字数や行数を単位とするクライアントもある.X座標,Y座標(図4.1)の単位はピクセルである.なお,fvwm,fvwm2を使用している場合はウィンドウをMoveしようとしたときに座標が,ウィンドウをResizeしようとしたときに大きさがそれぞれディスプレイの左上に表示される.
コンピュータの画面上で仮想的に机上の環境を提供するような機能を仮想デスクトップと呼ぶ.X Window Systemによって,ウィンドウを重ねるなど書類の重なりのイメージを実現している.しかし,コンピュータ用ディスプレイの大きさはせいぜい20インチ程度であるため,机の広さに比べると相当小さい.そこで,仮想デスクトップを画面よりも大きいものとしてとらえ,画面はそれを覗く窓のようなイメージで使用する環境が考えられている.さらに,このような仮想デスクトップをあたかも複数持っているかのような機能を多重仮想デスクトップと呼ぶ.これにより,仕事の内容に応じてデスクトップを切り替えたり,アプリケーションに応じてデスクトップを切り替えて使用することが可能となる.fvwmは,多重仮想デスクトップをウィンドウマネージャの機能に取り込んでいる.多重仮想デスクトップの概念を図4.2に示す.