LaTeXの1ページの本文領域は何も指定しない場合には1段組で整形されますが,2段組の整形を行うこともできます.この場合本文領域は左右2つのカラムに分けられて出力されます.2段組にするには次の2つの方法があります.
- twocolumnクラスオプションを指定する
\twocolumn
コマンドを用いる
これらはどちらも基本的に本文領域を2段組にしますが,若干異なる点があります.次に,2段組と1段組の違いをまとめます.
2段組と1段組は次の点で異なります.
- 本文領域を左右2つのカラムに分割
- abstract環境(p.)の出力位置
\newpage
コマンド(2.13表2.13)の機能
figure*
およびtable*
環境()が利用可能
このうち2段組におけるabstract環境と改ページコマンドについて説明します.
abstract環境は,1段組では文字サイズがsmallで``Abstract''と表示がつくquotation環境として扱われます.() 2段組では番号なしの1つの節(section)として扱われます.この違いを図に示します.
図:1段組と2段組との abstract環境の違い
Abstract
1 鶴見線大川支線
京浜東北線鶴見駅の2階部分,頭端式のホームから伸びる一条のレールが鶴見線である.そして大川支線はその鶴見線の武蔵白石駅から東京湾に向かって伸びる約1kmの支線である.途中駅はなく,武蔵白石駅と大川駅の2駅しかない,珍しい路線である.
1段組の場合
Abstract
鶴見線大川支線.首都圏で唯一旧型国電が走る線区であった.がそれも1996年3月15日で幕を閉じた.今回はその首都圏唯一の旧型国電であった``クモハ12形''にスポットを当てる.
1 鶴見線大川支線
京浜東北線鶴見駅の2階部分,頭端式のホームから伸びる一条のレールが鶴見線である.そして大川支線はその鶴見線の武蔵白石駅から東京湾に向かって伸びる約1kmの支線である.途中駅はなく,武
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蔵白石駅と大川駅の2駅しかない,珍しい路線である.そしてそこには昔ながらのチョコレート色の,それもたった17mしかない1両の電車がガタゴトと力強く走っていた.
形式はクモハ12形.60年以上も現役で走り続けた頼もしい車両だ.しかしそのクモハ12の勇姿を見ることも,もう叶わない.そこで次にそのクモハ12についてまとめておこう.
2 クモハ12
2段組の場合
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2段組の標準設定では2つに分けられた本文領域に中央線は引かれない.これは中央線の太さを設定しているパラメータ\columnseprule
が0ptに設定されているためである.もし中央線を引きたい場合はこのパラメータに具体的な値を設定すればよい.パラメータの設定方法についてはp.を参照のこと.
2段組では改ページコマンドの1つである\newpage
コマンドの機能が変化します.1段組の場合は単純に改ページするだけですが,2段組の場合はページではなくカラムを変えます.つまり左カラムに\newpage
コマンドを記述すれば右カラムに,右カラムに記述すれば次のページの左カラムに移行します.その他の改ページコマンドは1段組の場合と同様の機能を提供します.
twocolumnクラスオプションを指定するには次のように記述します.
\documentclass[twocolumn]{jarticle}
twocolumnクラスオプションを指定すると,最初から文書全体が2段組になります.しかしarticle系のドキュメントクラスを指定しているときは\maketitle
コマンド(3.2.1)の出力だけはページ上部に1段組で出力されます.
2段組にするにはtwocolumnクラスオプション以外にも,
\twocolumn
コマンドを用いることができます.この場合twocolumnクラスオプションを指定する必要はありません.
文書途中で\twocolumn
コマンドを記述すると,その場所で改ページが行われ,次のページから2段組になります.これは同一ページ中に単純に1段組と2段組を混在させることができないことを意味しています.これを回避するには次のように\twocolumn
コマンドにオプション引数をつけるとよいでしょう.
\twocolunm[ページ上部で1段組にしたい文章]
これによって改ページ後のページ上部を1段組にできます.この例を次に示します.
\columnseprule = 0.1pt
\begin{document}
\twocolumn[
\begin{flushright}
{\large 2段組の文書にタイトルをつけよう}\\
総合政策学部{\sl 1}年\\
藤沢 花子 ({\sl 70100000})\\
\ [\,{\sl s01000hf@sfc.keio.ac.jp}\,]
\end{flushright}
\begin{center}
\bfseries Abstract
\end{center}\vspace{-5pt}
\begin{quotation}
\begin{small}
このようにすれば本文は2段組のままタイトルをデザインして,さらにabstractまで
つけることができます.少し大変ですが見ためはかなりよくなります.
\end{small}
\end{quotation}
]
\medskip
ここからが2段組部分です.
\end{document}
[tex2html_wrap_inline16958]
2段組の文書にタイトルをつけよう
総合政策学部1年
藤沢 花子 (70100000)
[s01000hf@sfc.keio.ac.jp]
Abstract
ここからが2段組部分です.
width 0.3pt
twocolumnクラスオプションを指定したときの
\maketitle
コマンド(
3.2.1)の出力や,
figure*
や
table*
環境(p.)の出力は,LaTeX内で
\twocolumn
コマンドのオプション引数を用いて定義されて いる.そのため2段組にするとページ上部にしか出力されない.
\twocolumn
コマンドとは逆に,本文領域を1段組に戻す場合に用いるのが
\onecolumn
コマンドです.\onecolumn
コマンドも改ページを行ってから1段組にします.ただし\twocolumn
コマンドのようなオプション引数はとることはできません.