CNSのUNIX環境では,X Window Systemを利用して作業を行う.X Window Systemでは画面上に複数のウィンドウを表示したり,リモートホストで起動したアプリケーションのウィンドウを表示できる.ウィンドウの形状や動作はウィンドウマネージャと呼ばれるプログラムによって管理される.CNSではfvwm2というウィンドウマネージャを利用する.
ここではX Window Systemの基本操作を,fvwm2を例として説明する.
ウィンドウを移動するには,図2.3のBの部分でマウスの中ボタンをプレスする.ウィンドウの外枠に沿って点線が表示されるので,目的の場所に動かしてボタンをリリースすると,ウィンドウが移動する.
また,複数のウィンドウが重なって表示されているときは,図2.3 のBの部分を左ボタンでクリックすると一番手前に移動し,右ボタンでクリックすると一番奥に移動する.
図2.3のDをプレスすると,ウィンドウの外枠に沿って点線が表示される.この点線枠をプレスしたまま動かすことで,ウィンドウの大きさを変更する.目的の大きさに合わせてボタンをリリースすると,ウィンドウの大きさが変更される.
ウィンドウをアイコンとして表示することをアイコン化と呼ぶ.ウィンドウをアイコン化するには,図2.3のCをクリックする.もとの状態に戻すには,アイコンを左ボタンでクリックする.
アイコン化されたウィンドウを移動するには,中ボタンでドラッグする.
図2.3のAをプレスするとメニューが表示される.そのままマウスを動かし,目的の項目のところでボタンをリリースすると,選択したメニューの項目に対応する動作が行われる.
表2.1に,メニューの項目と対応するウィンドウ操作を示す.
FvwmButtonsにはさまざまなアイコンが表示されている(図2.4).アイコンをクリックするとアプリケーションが起動したり,ウィンドウの操作を行える.表2.2に,FvwmButtonsの項目と対応する動作を説明する.
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項目 | 説明 |
Shell | ターミナルウィンドウの起動 |
Emacs | Emacsの起動 |
Xman | オンラインマニュアルの起動 |
Xcalc | 計算機の起動 |
Xclock | 時計の起動 |
Xpaint | xpaintの起動 |
Xv | xvの起動 |
Netscape | Netscapeの起動 |
Kill | ウィンドウメニューの`Destroy'(表2.1)に同じ |
fvwm2では複数の仮想ルートウィンドウ(ページ)が用意されているので,ユーザはページを切り替えて作業を行う.FvwmPagerは,ページを切り替えたり,ページにあるウィンドウを別のページに移動するのに利用する(図2.5).
CNSのfvwm2では,ルートウィンドウの9倍分の作業領域が用意されている.FvwmPagerウィンドウは9つの領域に分かれており,これらの領域1つ1つが1つのページを表している.違う色で表示されている領域が作業中のページであり,そのページをカレントページと呼ぶ.ログインした直後は,左上端のページがカレントページとして選択されている.カレントページにはウィンドウを表す四角形が表示されており,中ボタンでドラッグすると,ウィンドウを移動できる.
次にページの移動方法について説明する.
マウスカーソルを画面の上下左右の端に移動すると,動かした方向のページに移動できる.ただし,FvwmPagerウィンドウにおいて端のページがカレントページとして選択されている場合には,マウスをその方向へ移動してもページは切り替わらない.例えばログイン直後に,マウスを上方向または左方向に移動しても,カレントページは移動しない.
FvwmPagerウィンドウ内で目的のページをクリックすると,カレントページを移動できる.
マウスカーソルがルートウィンドウ上にあるときにマウスボタンをプレスすると,メニューが表示される.左ボタンをプレスすると`Window Ops'メニュー,中ボタンをプレスすると`Window List'メニュー,右ボタンをプレスすると`Applications'メニューがそれぞれ表示され,目的の項目のところでリリースするとさまざまな操作を選択できる.
ルートウィンドウ上で左ボタンを押すと`Window Ops'メニューが表示される.これはウィンドウのプルダウンメニューと同じもので,表2.1と同様のメニューが表示される.ドラッグによって目的の項目を選択しリリースすると,マウスカーソルの形が変わるので,操作対象のウィンドウをクリックする.
ルートウィンドウ上で中ボタンを押すと,`WindowList'メニューが表示される.メニューには現在起動しているウィンドウの一覧が表示される.リストの項目をドラッグによって選択すると,指定されたウィンドウが最も上に表示される.
ルートウィンドウ上で右ボタンを押すと,`Applications'メニューが表示される.ドラッグによってメニューから目的の項目を選択すると,選択されたアプリケーションが起動する.表2.3に,Applicationsメニューの項目と対応する動作を説明する.
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ターミナルウィンドウにはさまざまな便利な機能がある.ここではその例を示す.
コピー&ペーストとは,ウィンドウ間で文字をコピーする操作である.ウィンドウに表示されている文字を別のウィンドウに入力するときなどにコピー&ペーストを使用する.
コピーする始点で左ボタンをドラッグすると,その始点からマウスカーソルのある位置までの文字が黒く反転する.コピーする文字の終点でボタンをリリースすると,反転している部分がコピー元として記憶される.これを`コピー'と呼ぶ.文字を貼りつけるウィンドウにマウスカーソルを移動して中ボタンをクリックすると,ウィンドウ上のカーソルの位置にコピーした文字が表示される.これを`ペースト'と呼ぶ(図2.6).
ウィンドウ内に多くの文字が表示されると,最上段の1行が消え,各行が1行ずつ上に移動する.新しい行は最下段に表示される.これを`スクロール'という.
ウィンドウの左端についているスクロールバーを使うと,スクロールによって消えてしまった文字を見ることができる.これをバックスクロールという.スクロールバーを利用するには,マウスの中ボタンでスクロールバーを上下にドラッグする.スクロールバーが最も上に移動した状態より前の文字は見ることができない.
マウスカーソルがターミナルウィンドウの中にあるときに,<CTRL>を押しながらマウスボタンをプレスするとメニューが表示される.左ボタンをプレスすると`Main Options'メニュー,中ボタンをプレスすると`VT Options'メニュー,右ボタンをプレスすると`VT Fonts'メニューが表示される.目的の項目のところでリリースすると,ターミナルウィンドウの設定を操作できる.設定をもとに戻すためには再び同じ項目を選択すればよい.次に,各メニューの項目を挙げ,特によく使用するものに関して説明する.
ターミナルウィンドウ内で<CTRL>を押しながらマウスの左ボタンをプレスすると,`Main Options'メニューが表示される.メニューから[Secure Keyboard]を選択すると,キー入力はマウスカーソルの位置に関わらずそのウィンドウに入力される.
ターミナルウィンドウ内で<CTRL>を押しながらマウスの中ボタンをプレスすると,`VT Options'メニューが表示される.メニューの中から[EnableScrollbar]を選択するとktermの左端にスクロールバーが表示され,[EnableReverse Video]を選択すると画面が反転表示される. [EUC Kanji Mode]や[Shift-JIS Kanji Mode]を選択すると,端末表示の漢字モードとしてEUC漢字コードやMS漢字コード(Shift-JIS漢字コード)を指定できる.端末の漢字コードがうまく設定されずにウィンドウ内の文字が文字化けしてしまった場合などは[Do Full Reset]を選択してターミナルウィンドウを初期状態に戻す.
ターミナルウィンドウ内で<CTRL>を押しながらマウスの右ボタンをプレスすると,`VT Fonts'メニューが表示される.[Default],[Tiny],[Small],[Medium],[Large]を選択すると,ウィンドウ内に表示される文字の大きさを指定できる.メニューの左側に印がついている項目が,現在選択されている文字の大きさである.
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