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1.5 使用上の基礎知識

ここではを使う上での理解の助けとなるの基礎的な知識をまとめる.エラーを訂正したり,希望通りの出力を得るために,適宜参照してほしい.


1.5.1 の特殊文字


特殊文字の出力方法

にはコマンドの先頭を示す`\'やコメントアウトを行なう `%'など,多くの特殊文字が存在する. これらの特殊文字はそのままでは出力できないので注意すること.特殊文字の一覧,及び出力方法は第VIII部 2.1.4を参照すること.


コメントアウト

ソースファイル中に`%'を記述すると,その行の`%'以降は無視され,本文として認識されない.これをコメントアウトと呼ぶ.これにより,文書の構成上不必要になった文章を消去することなく,ソースファイル中にコメントを書き込める.次に例を示す.



% 人間関係論レポート 〆切 2月10日
\documentclass{jarticle}
\begin{document}
\section{はじめに}

% 導入部分として,日常の人間関係に
% ついて簡単に述べて,本題に入る.

私達は常に他人と何らかの関係を持た
ざるを得ません.実際,私達は次のよ





1 はじめに

私達は常に他人と何らかの関係を持たざるを得ません.実際,私達は次のよう




``''というロゴマークはLとTの間に小さなAが入り,Eが少し下がったものとなっている.このロゴマークは\LaTeXというコマンドで出力できる.この少し変わったロゴマークがそのものの特徴を表しているともいえよう.


1.5.2 半角空白

では,ソースファイル中にいくら半角空白を記述しても,整形後の文書イメージには半角空白1個分の空白しか挿入されない.つまり,文書イメージに意図的に余白を挿入したい場合でも,ソースファイル中に記述した半角空白は基本的には意味をなさない.` 'はソースファイル上での半角空白1個を表す.

ソースファイル中の半角空白はどんなに     たくさん入れても半角空白1個分にしかなりません.

ソースファイル中の半角空白はどんなに たくさん入れても半角空白1個分にしかなりません.

これは文章が英文でも同じである.

Many      spaces are equal to one space in \LaTeX.

Many spaces are equal to one space in .

ではソースファイルの記述の仕方に関わらず,ページ単位で最適な大きさの余白を自動的に挿入し,文書イメージの体裁を整えるので,基本的にはユーザが細かな空白調節をする必要はない.任意の大きさの空白を挿入する方法については第VIII部 2.2を参照すること.

全角空白1個は漢字1文字として扱われ,半角空白とは異なる.ソースファイル中に全角空白を記述した場合は,ちょうど漢字1文字分の空白が整形後の文書イメージに挿入される.

におけるコマンドの終端や英単語の終端を表す半角空白は``デリミタ(delimiter)''と呼ばれる.デリミタのうち,コマンド終端のものは整形後の文書イメージでは無視され,単語間のものは自動的に必要な分の空白に展開される.半角文字と全角文字の間には半角空白を入れる必要はない.この場合,は半角文字と全角文字との間に``4分空き''と呼ばれる全角空白の4分の1の空白を自動的に挿入する.


1.5.3 コマンド,環境,グルーピング

には文書整形の制御を指示する方法として,コマンド,環境,グルーピングという3つの方法がある.ここではこの3つの考え方について簡単に説明する.


コマンド

のコマンドは文書整形を指示するための最も基本的な方法であり,コマンド以降の文書全体に対して必要な整形処理を行う.コマンドは基本的に`\'で始まる文字列である.は処理中に`\'で始まる文字列を見つけると,特に指示がない限りコマンドとして解釈し,それ以降の文書に対して必要な整形処理を行う.この際は半角空白やタブ,改行をデリミタとして認識するため,コマンド文字列の直後にこれらのいずれかを挿入する必要がある.

これを\largeコマンドを例にとって説明する.` 'はソースファイル中の半角空白1個を表す.

\largeThis command makes letters large.

\largeコマンドはそれ以降の文書をひとまわり大きい文字で整形するためのコマンドである.しかしこの例では \largeThisの間にデリミタが存在しないため,本来ならば\largeとして認識されるべきコマンドを\largeThisというコマンドとして認識してしまい,エラーとなる.

これを回避するためには,コマンド文字列の直後にデリミタである空白を挿入することによってコマンドの終端を認識させればよい.

\large This command makes letters large.

これでコマンド`\large'と単語`This'が区別され,は正しくコマンドを認識できるようになる.これは和文でも同様である.

\largeこのコマンドは文字を大きくします. 試しに実験してみましょう.

この場合は最初の`.'の後までデリミタが存在しないため,は`\largeこのコマンドは文字を大きくします.'をコマンドとして解釈してエラーとなる.

\large このコマンドは文字を大きくします. 試しに実験してみましょう.

これで\largeがコマンドとして正しく解釈されるようになる.

全角空白は漢字1文字として扱われるため,デリミタとしては機能しない.または小文字,大文字,および全角,半角をすべて区別する.例えばコマンド\large\Large\LARGEはすべて別のコマンドである.


環境

環境は有効範囲を指定してその範囲内に整形を指示する方法で,文書中の任意の範囲を環境として囲い,その環境内の文書に対して整形を行う.環境として囲う範囲は,\begin{環境名}\end{環境名}というコマンドのペアで指定する.環境名は環境内に対して働く機能を表しており,コマンド名に対応しているものもある.

次にsmall環境とlarge環境を用いた具体例を示す.



では実験してみましょう.
 \begin{small}
  ここはsmall環境のなか.
   \begin{large}
    ここはlarge環境のなか.
   \end{large}
  large環境を抜けたところ.
 \end{small}
これで元に戻ります.





では実験してみましょう.ここはsmall環境のなか.ここはlarge環境のなか.large環境を抜けたところ.これで元に戻ります.



\begin{small}\end{small}で囲まれた範囲は\small環境となり,文字が小さく整形される.またこの例ではsmall環境内でさらに large環境を用いているので,その範囲はlarge環境となる.このように環境が入れ子構造になっている場合は内側で定義されたものが優先される.

では一般的に\begin{環境名}で環境の始まりを指定することを``環境を開く''と呼び,\end{環境名}で環境の範囲の終わりを指定することを``環境を閉じる''と呼ぶ.

環境は開いた反対の順に閉じなければならない.例えば先の例においてlarge環境を閉じる前に small環境を閉じてしまうとエラーとなる.また環境の中に何も書いていない場合もエラーとなることがあるので注意すること.


グルーピング

グルーピングは環境同様にコマンドの有効範囲を指定して整形を行う方法である.グルーピングでは中括弧 で本文領域の任意の領域を囲うことによって有効範囲を指定する.またグルーピングも入れ子構造にでき,環境同様に最も内側のグループが優先される.次に \largeコマンドと\smallコマンドを用いた例を示す.



では実験してみましょう.\\
{\large ここはlargeグループの範囲
内です.グループの中では文字が大きく
整形されます.{\small 入れ子構造に
すると内側のグループが優先されます.}
1つのグループを閉じた後はそのグルー
プを開く前の状態に戻ります.}\\
これで完全に元の状態に戻ります.





では実験してみましょう.
ここはlargeグループの範囲内です.グループの中では文字が大きく整形されます.入れ子構造にすると内側のグループが優先されます. 1つのグループを閉じた後はそのグループを開く前の状態に戻ります.
これで完全に元の状態に戻ります.



コマンドや環境,グルーピングで用いられる`\'や中括弧{ }はすべて半角文字である.またキーボード上に`\'がない場合は`'を用いる.`\'と`'はキーの刻印と画面での表示が異なるだけで,実際にはまったく同じものとして扱われる.


1.5.4 モード

はいくつかのモードを持っており,モードごとに異なったルールに基づいて文書整形を行っている.モードはのコマンドや環境によって自動的に変化し,文書整形方式を変化させる.


テキストモード

普通に文書を記述するためのモード.1行の長さが決められており,越えると自動的に改行される.通常の文書整形はこのモードで行われる.


L-Rモード

文書を左から右へ改行をせずに出力するモード.\verb\underlineなどのコマンドや,tabular環境で適用される.


数式モード

数式を記述するためのモード.半角英数字は 10#10体になる.詳しくは市販の専門書を参照すること.

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