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2.2 空白の挿入と長さの単位
LATEXにおける文書整形では,出力の空白制御は自動的に行われる.しかしコピーした図を後から貼りつける場合や,手書きの図や文書を書き加えたい場合などには,意図的に空白を入れる必要がある.ここではそのような意図的な空白制御について説明する.
2.2.1 長さの単位
LATEXではさまざまなところで具体的な長さを指定することがある.LATEXでは表2.9に示す長さの単位を用いる.
表 2.9:
長さの単位
単位 |
1単位の長さ |
単位 |
1単位の長さ |
pt |
ポイント [1pt 〜eq 0.35mm] |
in |
インチ [1in = 25.4mm = 72.27pt] |
pc |
パイカ [1pc=12pt] |
em |
現在有効な書体の文字Mの幅 |
bp |
big point 1bp 〜eq 1in |
ex |
現在有効な書体の文字xの高さ |
dd |
didot point 1dd 〜eq 1.07pt |
zw |
現在有効な全角漢字の幅 |
mm |
ミリメートル [1mm 〜eq 2.85pt] |
zh |
現在有効な全角漢字の高さ |
cm |
センチメートル [1cm = 10mm] |
|
|
|
横方向の空白制御には表2.10のコマンドを用いる.
\hspace
コマンドの引数には単位(表2.9)とともに空白の長さを記述する.行頭に空白を挿入したい場合は,コマンドと{
の間に`*'を記述する必要がある.
表 2.10:
横方向空白挿入コマンド
コマンド |
意味 |
\ |
長さ 1emの空白の挿入 |
~ |
\ と同じだが,ここでの改行が禁止される |
\, |
\ の
14#14の空白の挿入 |
\hspace{長さ} |
``長さ''で指定した長さの空白の挿入 |
\hspace*{長さ} |
行頭の場合の空白の挿入 |
\@ |
文末指定をする場合に,ピリオドの直前に用いる |
\/ |
イタリック補正(イタリック体直後)に用いる |
|
2.2.3 縦方向の空白
縦方向の空白制御には表2.11のコマンドを用いる.
\vspace
コマンドの引数には単位(表2.9)とともに空白の長さを記述する.ページの先頭で空白を挿入したい場合は,コマンドと{
の間に`*'を記述する必要がある.
表 2.11:
縦方向空白挿入コマンド
コマンド |
意味 |
|
小さめの空白を挿入 |
\medskip |
中くらいの空白を挿入 |
\bigskip |
大きめの空白を挿入 |
\vspace{長さ} |
``長さ''で指定した長さの空白の挿入 |
\vspace*{長さ} |
ページの先頭の場合の空白の挿入 |
|
次に空白の挿入の例を示す.
\vspace*{20pt}
ページの先頭で縦にスペーシングするには
\verb+\vspace*+を使います.
また\vspace{5mm}行の途中に入れた場合は
改行されたときに有効となります.
\hspace*{2em}また行頭に空白を入れる場合は
\verb-\hspace*-を用います.
→
\hspace
や\vspace
コマンドでは,引数にマイナスの値を指定することで行間や字間を詰められる.
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