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2.3 X Window Systemの基本操作

CNSのUNIX環境では,X Window Systemを利用して作業を行う.X Window Systemでは画面上に複数のウィンドウを表示したり,リモートホストで起動したアプリケーションのウィンドウを表示できる.ウィンドウの形状や動作はウィンドウマネージャと呼ばれるプログラムによって管理される.CNSではfvwm2というウィンドウマネージャを利用する.

ここではX Window Systemの基本操作を,fvwm2を例として説明する.


2.3.1 ウィンドウの操作


図 2.3:ターミナルウィンドウ
図 2.3:
ターミナルウィンドウ

ウィンドウの移動

ウィンドウを移動するには,図2.3のBの部分でマウスの中ボタンをプレスする.ウィンドウの外枠に沿って点線が表示されるので,目的の場所に動かしてボタンをリリースすると,ウィンドウが移動する.

また,複数のウィンドウが重なって表示されているときは,図2.3 のBの部分を左ボタンでクリックすると一番手前に移動し,右ボタンでクリックすると一番奥に移動する.

ウィンドウの大きさの変更

2.3のDをプレスすると,ウィンドウの外枠に沿って点線が表示される.この点線枠をプレスしたまま動かすことで,ウィンドウの大きさを変更する.目的の大きさに合わせてボタンをリリースすると,ウィンドウの大きさが変更される.

ウィンドウのアイコン化

ウィンドウをアイコンとして表示することをアイコン化と呼ぶ.ウィンドウをアイコン化するには,図2.3のCをクリックする.もとの状態に戻すには,アイコンを左ボタンでクリックする.

アイコン化されたウィンドウを移動するには,中ボタンでドラッグすればよい.

メニューの表示

2.3のAをプレスするとメニューが表示される.そのままマウスを動かし,目的の項目のところでボタンをリリースすると,選択したメニューの項目に対応する動作が行われる.

2.1に,メニューの項目と対応するウィンドウ操作を示す.


表 2.1: メニュー
項目 説明
Move ウィンドウを移動する
Resize ウィンドウの大きさを変更する
Raise ウィンドウを一番手前に移動する
Lower ウィンドウを一番奥に移動する
Iconify ウィンドウをアイコン化する
(Un)Stick ページの移動に関わらず,常にウィンドウを表示する
Destroy ウィンドウを破壊し,ウィンドウを表示しているアプリケーションを終了する
Delete ウィンドウを閉じる

`Destroy'は異常終了のもととなるので,カーソルが戻ってこなくなったとき,入力を受けつけなくなったとき以外は使用しないこと.


2.3.2 FvwmButtonsの操作

FvwmButtonsにはさまざまなアイコンが表示されている(図2.4).アイコンをクリックするとアプリケーションが起動したり,ウィンドウの操作を行える.表2.2に,FvwmButtonsの項目と対応する動作を説明する.



図 2.4: FvwmButtons





項目 説明
Shell ターミナルウィンドウの起動
Mule Muleの起動
Xman オンラインマニュアルの起動
Xcalc 計算機の起動
Xclock 時計の起動
Xpaint xpaintの起動
Xv xvの起動
Netscape Netscapeの起動
Kill ウィンドウメニューの`Destory'(表2.1)に同じ
FvwmButtonsの説明



ボタンを押してから選択されたアプリケーションが表示されるまでには,多少時間がかかる.ボタンが1度押されるたびにアプリケーションが起動されるので,連続してボタンを押さないこと.


2.3.3 FvwmPagerの操作

fvwm2では複数の仮想ルートウィンドウ(ページ)が用意されているので,ユーザをページを切り替えて作業を行える.FvwmPagerは,ページを切り替えたり,ページにあるウィンドウを移動するのに利用する(図2.5).

CNSのfvwm2では,ルートウィンドウの9倍分の作業領域が用意されている.FvwmPagerウィンドウは9つの領域に分かれており,これらの領域1つ1つが1つのページを表している.違う色で表示されている領域が作業中のページであり,そのページをカレントページと呼ぶ.ログインした直後は,左上端のページがカレントページとして選択されている.カレントページにはウィンドウを表す四角形が表示されており,中ボタンでドラッグすると,ウィンドウを移動できる.


図 2.5:FvwmPager
図 2.5:FvwmPager

次にページの移動方法について説明する.

マウスによるページの移動

マウスカーソルを画面の上下左右の端に移動すると,動かした方向のページに移動できる.ただし,FvwmPagerウィンドウにおいて端のページがカレントページとして選択されている場合には,マウスをその方向へ移動してもページは切り替わらない.例えばログイン直後に,マウスを上方向または左方向に移動しても,カレントページは移動しない.

FvwmPagerウィンドウを利用したページの移動

FvwmPagerウィンドウ内で目的のページをクリックすると,カレントページを移動できる.


2.3.4 ウィンドウメニュー

マウスカーソルがルートウィンドウ上にあるときにマウスボタンをプレスすると,メニューが表示される.左ボタンをプレスすると`Window Ops'メニュー,中ボタンをプレスすると`Window List'メニュー,右ボタンをプレスすると`Applications'メニューがそれぞれ表示され,ドラッグによりさまざまな操作を選択できる.



左ボタン : Window Opsメニュー

ルートウィンドウ上で左ボタンを押すと`Window Ops'メニューが表示される.これはターミナルウィンドウのプルダウンメニューと同じもので,表2.1 と同様のメニューが表示される.ドラッグによって目的の項目を選択するとマウスカーソルの形が変わるので,操作対象のウィンドウをクリックする.



中ボタン : WindowListメニュー

ルートウィンドウ上で中ボタンを押すと,`WindowList'メニューが表示される.メニューには現在起動しているウィンドウの一覧が表示される.リストの項目をドラッグによって選択すると,指定されたウィンドウが最も上に表示される.


右ボタン : Applicationsメニュー

ルートウィンドウ上で右ボタンを押すと,`Applications'メニューが表示される.メニューから項目を選択すると,選択されたアプリケーションが起動する.表2.3に,Applicationsメニューの項目と対応する動作を説明する.


表 2.3: Applicationsメニュー
項目 説明
Shell 新しいターミナルウィンドウの表示
Mule Muleの起動
Manual X Window Systemで動作するオンラインマニュアルの起動


2.3.5 ターミナルウィンドウの便利な機能

ターミナルウィンドウにはさまざまな便利な機能がある.ここではその例を示す.


コピー&ペースト

コピー&ペーストとは,ウィンドウ間で文字をコピーする操作である.ウィンドウに表示されている文字を別のウィンドウに入力するときなどにコピー&ペーストを使用する.

コピーする始点で左ボタンをドラッグすると,その始点からマウスカーソルのある位置までの文字が黒く反転する.コピーする文字の終点でボタンをリリースすると,反転している部分がコピー元として記憶される.これを`コピー'と呼ぶ.文字を貼りつけるウィンドウにマウスカーソルを移動して中ボタンをクリックすると,ウィンドウ上のカーソルの位置にコピーした文字が表示される.これを`ペースト'と呼ぶ(図2.6).


図 2.6:コピー&ペーストをしている画面
図 2.6:コピーペーストをしている画面


バックスクロール

ウィンドウ内に多くの文字が表示されると,最上段の1行が消え,各行が1行ずつ上に移動する.新しい行は最下段に表示される.これを`スクロール'という.

ウィンドウの左端についているスクロールバーを使うと,スクロールによって消えてしまった文字を見ることができる.スクロールバーを利用するには,マウスの中ボタンでスクロールバーを上下にドラッグする.スクロールバーが最も上に移動した状態より前の文字は見ることができない.


2.3.6 ターミナルウィンドウのポップアップメニュー

マウスカーソルがターミナルウィンドウの中にあるときに,<CTRL>を押しながらマウスボタンをプレスするとメニューが表示される.左ボタンをプレスすると`Main Options'メニュー,中ボタンをプレスすると`VT Options'メニュー,右ボタンをプレスすると`VT Fonts'メニューが表示される.マウスカーソルを選択する項目に移動しリリースすると,ターミナルウインドウの設定を操作できる.設定をもとに戻すためには再び同じ項目を選択すればよい.次に,各メニューの項目を挙げ,特によく使用するものに関して説明する.





図 2.7:Main Options
図 2.7:
Main Options







図 2.8:VT Options
図 2.8:
VT Options







図 2.9:VT Fonts
図 2.9:
VT Fonts





左ボタン : Main Optionsメニュー

ターミナルウィンドウ内で<CTRL>を押しながらマウスの左ボタンをプレスすると,`Main Options'メニューが表示される.メニューから[Secure Keyboard]を選択すると,キー入力はマウスの位置に関わらずそのウィンドウに入力される.また,[Log to File]を選択すると,それ以降ターミナルウィンドウ上に表示された文字がすべてログファイルとしてホームディレクトリに記録される.


中ボタン : VT Optionsメニュー

ターミナルウィンドウ内で<CTRL>を押しながらマウスの中ボタンをプレスすると,`VT Options'メニューが表示される.メニューの中から[EnableScrollbar]を選択するとktermの左端にスクロールバーが表示され,[EnableReverse Video]を選択すると画面が反転表示される. [EUC Kanji Mode]や[Shift-JIS Kanji Mode]を選択すると,端末表示の漢字モードとしてEUC漢字コードやMS漢字コード(Shift-JIS漢字コード)を指定できる.端末の漢字コードがうまく設定されずにウィンドウ内の文字が文字化けしてしまった場合などは[Do Full Reset]を選択してターミナルウィンドウを初期状態に戻す.


右ボタン : VT Fonstsメニュー

ターミナルウィンドウ内で<CTRL>を押しながらマウスの右ボタンをプレスすると,`VT Fonts'メニューが表示される.[Default],[Tiny],[Small],[Medium],[Large]を選択すると,ウィンドウ内に表示される文字の大きさを指定できる.メニューの左側に印がついている項目が,現在選択されている文字の大きさである.

ポップアップメニューはユーザのログインしているホストによって異なるので注意すること.




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