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2.2 画像ファイルの種類

ここでは,各種の画像ファイル形式について,その特性とおもな利用目的を説明 します.表[*]に各画像ファイル形式の特性を示します.〇は その要素が完全に満たされていることを,△はその要素が一部満たされている ことを表しています.なお,圧縮形式の欄に〇も△もついていないものは 非圧縮を表しています. 利用目的など詳細については,各画像形式の項目で述べます. &&&可逆&不可逆&RGB&CMYK&インデックス&グレースケール

ファイル形式 ビットマップ ベクトル 圧縮方式 色表現
可逆 不可逆 RGB CMYK インデックス グレースケール
TIFF        
GIF        
PNG      
JPEG    
PS      
EPS      
PDF  
BMP        

表: 画像ファイル形式


2.2.0.1 TIFF (Tagged-Image File Format)

[ビットマップ][非圧縮][RGB,CMYK,グレースケール]

TIFFはビットマップ画像をさまざまなコンピュータ間で交換することを目的として開 発された形式で,RGB,CMYK,グレースケールの3種類の色表現で 保存できます. 基本的には非圧縮のフォーマットです.圧縮,色数判別,解像度判別や キャプションなどのさまざまなオプションが規格としては用意されていますが, 多くのアプリケーションがそれらのオプションを利用できないため,あまり利 用されていません. 画像をスキャナで取り込むときや,画像の編集・加工を行う際,複数のア プリケーションの間でやりとりする際に一般的に使われる形式です.

TIFF形式は規格でサポートしているオプションがあまりにも多岐にわたってし まったため,アプリケーションによっては画像データ間での互換性に問題が生 じることがあります.CNS の一般的なアプリケーションを利用する場合にはあまり 問題は起きませんが,注意が必要です.拡張子は一般的に .tiffまたは.tifです.

2.2.0.2 GIF (Compuserve Graphics Interchange Format)

[ビットマップ][可逆圧縮][インデックスカラー,グレースケール]

GIFはネットワークを通じた画像転送を目的として開発された画像形式です. 透明化(Transparency)といわれる``透明な色''を定義するオプションや,インター レースという表示を行う際に最初は荒く,次第に細かい部分まで表示するオ プションも指定できます.

色は最大256色(8bit)のインデックスカラーしか扱えないため,1枚の画像で利 用可能な色数は256色までに制限されます. 拡張子は一般的に.gifです.

圧縮アルゴリズムの特許をUnisys社が所有しているため, ライセンスをもっているソフトウェア以外で作成したGIFファイルを WWW上で公開することは禁止されているので注意してください.

2.2.0.3 PNG (Portable Network Graphics)

[ビットマップ][可逆圧縮][RGB,インデックスカラー,グレースケール]

PNGはネットワークに最適な画像ファイル形式への需要に応えて提唱されたも のです.特にWWWでの利用に焦点がおかれています.

GIFと同様に可逆方式でデータを圧縮しますが,圧縮効率はGIFより高いです.最高 48bitのRGBカラーと16bitのグレースケール,アルファチャンネル(透明度を指 定できる)をサポートしており,表現力の点でGIFよりも優れています.またネッ トワークでの利用を考慮して,GIFよりも美しくインターレース表示できるよ うになっています.

CNS 環境では,UNIX にインストールされているXPaintやGIMP,Macintosh,WindowsにインストールされているAdobe Photoshop 5.5 Jなどがこのファイル形式を扱えます.拡張子は一般的に .pngです.

2.2.0.4 JPEG (Joint Photographic Experts Group)

[ビットマップ][可逆圧縮,不可逆圧縮][RGB,CMYK,グレースケール]

スキャナで取り込んだ画像や,ビデオから取り込んだ画像などの自然画像をデ ジタル化した画像の圧縮保存にもっとも適しています.画像によっては,圧縮するこ とで画像のサイズを非圧縮の状態の数分の1から数十分の1にできます.このため, WWWのインラインイメージなどのネットワークを通じた画像転送ではGIFととも に標準的に用いられます.

JPEGはアプリケーションでの保存時にオプションで圧縮率を指定できます.しか し,圧縮率を上げると画像の劣化の度合が大きくなるので, 適切な圧縮率を自分で選択する必要があります.

また,JPEGでは可逆圧縮モードも規格としてはサポートされています.しかし, 利用できるアプリケーションは制限されます.

画像圧縮方法の適性から,自然画像の保存にもっとも適した形式です.逆に,3 次元CGなどのように完全にコンピュータ上で作られた画像を保存すると,画像 劣化が自然画像の場合より目立ちます.特に完全に同じ色が平坦に続くよう な部分が画像に含まれる場合は,JPEGで保存すると同じ色だったはずの部分 に若干色ムラがかかったようになってしまうことがあるので,注意する 必要があります. 拡張子は一般的に.jpegまたは.jpgです.

2.2.0.5 PS (PostScript)

[ビットマップ,ベクトル][非圧縮][RGB,CMYK,グレースケール]

PostScriptとは,``ページ''を単位にし,あるページに表示されるグラフィッ クスやテキストを,コンピュータやプリンタが共通して理解できる標準的な形 式で記述するための``ページ記述言語''です.

PostScript言語は,テキストやベクトル画像,ビットマップ画像を扱うための 豊富な命令群を持ち,カラーもRGB,CMYKをともに取り扱え,現在コンピュー タ上で実現可能な平面画像の構成をほぼすべて表現できます. PostScript言語で記述された画像ファイルを``PSファイル''といいます.拡張子 は一般的に.psです.

CNS のプリンタは,PostScriptプリンタというPSファイルを印刷できるプリンタです. PSファイルは直接理解できる形式であるという意味で, TIFFやGIF,PPMなど他のファイル形式とは異なる 意味を持ちます.CNS ではプリンタでの印刷時にはテキストファイル,画像ファイル など,どんな形式のファイルであれ,必ずPostScript形式に変換してからプリン タに送る必要があります.

PSファイルとして保存はできても,読み込めないアプリケー ションがあります.これらのアプリケーションでは,完成した画像を印刷したいと きや,他のアプリケーションで部品として取り込みたいときにPostScriptファ イル形式を利用します.

また,一般的にあるアプリケーションで作成したPSファイルは,別のアプリケー ションではその内容を編集できません.また,すべてのPSファイルを画像として 直接編集できるアプリケーションはありません.PSファイルは, おもに完成した文書ファイルを 画像やレイアウト情報を含めたままやりとりするために利用されること がよくあります.

PSファイルを画面に表示したいときには, ghostviewコマンド ([*]) を利用します.

2.2.0.6 PDF (Portable Document Format)

[ビットマップ,ベクトル][可逆圧縮,不可逆圧縮][RGB,CMYK,グレースケール]

PDFはPostScriptを基盤にコンピュータ上での閲覧を目的に提唱された フォーマットです.PostScriptを基盤としているので印刷にも適しており, PostScriptよりもファイルサイズが小さく,リンクを利用してハイパーテキス トを構築できるという点で,パンフレットやマニュアルの配布に利 用されることがよくあります. ファイル名は一般的に.pdfで終ります.


PSD (Photoshop)

[ビットマップ][可逆圧縮][すべての色表現]

Photoshopの標準画像保存形式です.Photoshopで作業中のデータのほぼすべ ての情報(パスや選択範囲,パレットの情報,各画像モード, レイヤー情報など)について保存できます. Photoshopで作業中の画像を保存する場合にはこの 形式を選択します. ただし,他のアプリケーションでは扱えません.

2.2.0.7 BMP (Microsoft Windows Device Independent Bitmap)

[ビットマップ][可逆圧縮][RGB,グレースケール]

BMPはWindowsでの標準画像フォーマットであり,IBM PC互換機などで標準的に 使われるファイル形式です.Windowsとデータをやりとりする場合には, この形式にしておくと便利です.

取り扱える色数は,2色(1bit)から16,777,216色(24bit)までの4種類のモード があります.可逆圧縮であるRLE (Run Length Encoding)方式で圧縮が行われます. 拡張子は一般的に.bmpです.

2.2.0.8 XBM,XPM (X11 Bitmap,X11 Pixmap)

[ビットマップ][非圧縮][RGB,グレースケール]

X Window System用のアイコンやマウスカーソルを定義したり作成したりする 場合や,ビットマップ画像をX Window Systemのプログラム中で取り扱う場合 に使用されるフォーマットです.XBM形式の画像では2色,XPM形式の画像で は複数色を扱えます.また圧縮は行われません.

ファイルの中にはC言語の配列の形態で画像が保存されており,#defineによるサイズ設定と,配列の要素として定義されたデータ本体から なるため,直接C言語のプログラムに取り込んで利用できます.拡張子は一般的 に.xbmや.xpmです.

2.2.0.9 PNM (PPM,PGM,PBM)

[ビットマップ][非圧縮][RGB,グレースケール]

PNM (Portable aNyMap)はピクセルの持っている色情報を,単純に数値化して 配列したフォーマットです.PPM (Portable PixMap)はフルカラー,PGM (Portable GrayMap)はグレースケール,PBM (Portable BitMap)は白黒2値の画 像のことを表し,拡張子は一般的にそれぞれ.ppm, .pgm,.pbmです.

圧縮やカラーパレットによる色の割当などを行っていない状態でデータが保存 されているため,画像解析や処理が容易に行えます. 特に netpbmコマンド群([*]) では,異なる画像形式への変換 や画像加工を行うための中間フォーマットとして利用されます.

2.2.0.10 XWD (X Window Dump)

[ビットマップ][非圧縮][RGB,インデックスカラー,グレースケール]

XWDはX Window Systemの表示画面を画像ファイルとして保存するためのフォー マットです.表現可能な色数は2色または256色以上で,普通は256色の データ構成となります.拡張子は一般的に.xwdです.


PICT (Macintosh PICT Format)

[ビットマップ,ベクトル][可逆圧縮,不可逆圧縮][RGB,インデックスカラー,グレースケール]

PICTは,Macintoshでの標準画像形式であり,おもにMacintoshで利用されます. 内部にベクトル画像データとビットマップ画像データを混在して保持できます. UNIX上のアプリケーションではうまく処理できない場合がよくあります. MacintoshとUNIXで画像のやりとりをする場合は,あらかじめMacintosh上で他 の形式に変換してから行います.

特にベクトル画像の部分に関しては,Macintosh環境で動作するアプリケーショ ンの間でも互換性がない場合があるので注意してください.ビットマップ画像に関し ては,アプリケーションによっては保存時にオプションでJPEG方式による圧縮を 指定できます.拡張子は一般的に.pictです.

2.2.0.11 IRIS RGB (SGI RGB Image File Format)

[ビットマップ][非圧縮,可逆圧縮][RGB,グレースケール]

IRIS RGBは,SGI O2などSilicon Graphics社のワークステー ションのオペレーティングシステムであるIRIX上で標準的に利用されるビット マップ画像形式です.

RGB,およびグレースケールでの表現色数に制限はないです.基本的に非圧縮 ですが,RLE圧縮のオプションを指定できます. 拡張子は一般的に.rgbです.