電子メールと電子ニュース/メールクライアントを利用する/Mewの操作方法
CNS のUNIX環境でメールを読むには,Emacs上で動作するMew(Messaging in the Emacs World)と呼ばれるメールクライアントを利用します. 2.2.1 基本操作起動 -- (M-x mew)Mewを起動するには,Emacsを起動してM-x mewと入力します.起動画面(図2.1)が表示された後,受信メールの一覧が表示されます.この受信メールの一覧が表示されている状態を`Summaryモード'と呼びます.Mewはメールサーバに新しくメールが到着している場合,起動時にメールを受信します.メールの受信中は,エコーエリアに`Getting +inbox ...'と表示され,受信が終了すると新しく到着したメールが一覧に追加され,追加されたメールの数がエコーエリアに表示されます.新しいメールが到着していない場合,`No new message'と表示されます.
Mewの起動画面
メールの一覧表示
Summaryモードの操作Mewでは,Summaryモードで表示するメール番号の範囲を,`Range'を用いて指定できます. Summaryモードでsを入力すると`Range (update): 'とエコーエリアに表示されます.必要なRange(表2.1)を入力し, <RET>を押すと,Summaryの一覧が,指定した範囲で再表示されます.この例の場合,何も入力せずに<RET>を押すと,( )の中に囲まれているupdateが選択されます. Summaryの再表示 -- (s)Summaryモードに表示されている範囲よりさらに古いメールを読みたいときや,逆に比較的新しいメールのみの表示に変える場合には, sを押して,表示するRangeを入力し<RET>を押します(表2.1参照).指定したRangeの範囲でメールの一覧が再表示されます.
終了 -- (Q,C-x C-c)Mewのメール操作を終了するにはQを押します.エコーエリアに次のように表示されるので,yを押すと,Mewは終了します. Quit Mew? (y or n)_
2.2.2 メールの受信メールサーバに新たに到着したメールを受信するにはSummaryモードで iを押します.M-x mewを実行したとき同様`Getting +inbox ...'と表示され,新しいメールが到着している場合はそれらが受信され,一覧に追加されます.新たにメールが到着していない場合はエコーエリアに`No new message'と表示されます. Summaryモードでメールの内容を読むには,<SPACE>を押します(図2.3).メールの内容が長い場合はウィンドウに1度にすべての内容を表示できません.メールの続きの部分を表示させるには<SPACE>を押し,前のページに戻るには<BS>を押します.1つのメールの表示から次のメールの表示に移るには<SPACE>かnを,前のメールに戻るには pを押します.
2.2.3 メールの作成Summaryモードでwを押すと,新規に作成するメールの本文を書くウィンドウが表示されます.
To: _ Subject: X-Mailer: Mew version 1.94.1 on Emacs 20.5 / Mule 4.0 (HANANOEN) -- この状態を`Draftモード'と呼びます.このモードでは,Emacsでのファイル作成と同様の操作でメールを作成できます.
なお,以前にメールを送ったことのある相手のアドレスであれば,`To:'および`Cc:'フィールドの入力中に,他と区別のつくまで入力中に<TAB>を押すと,残りの部分が補完されます.
To: s01000hf Cc: t01000tf Subject: Report_ X-Mailer: Mew version 1.94.1 on Emacs 20.5 / Mule 4.0 (HANANOEN) --
`To:',`Cc:',`Subject:'を入力したら,`--'の下の行にカーソルを移動して,本文を作成します.
`--'の行は,メールのヘッダ領域と本文領域の境界を表すものなので,消してはいけません.
signatureの付加 -- (C-c <TAB>,C-c C-i)ホームディレクトリの下に`.signature'という名前のファイルを作成し,その中に自分の署名を書いておきます.メールを送る前に C-c <TAB>またはC-c C-iを入力することで,その内容をメール本文に付加できます.`.signature'の内容は,4行程度の簡潔なものにしてください.次に`.signature'ファイルの例を示します.
-=-=-=-=-=-=-=-=-=- Taro Fujisawa Faculty of Environmental Information URL http://www.sfc.keio.ac.jp/~t01000tf 作成の中止 -- (C-c C-q)メールの作成を途中で中止するときは,C-c C-qを入力します.エコーエリアに`Kill draft message? (y or n)'と表示されます.ここでyを入力すると,Summaryモードに戻ります.
Kill draft message? (y or n) _ 2.2.4 メールの送信本文を作成した後,C-c C-mを入力するとヘッダ部分の最後に次に示す3行が加えられます.
Mime-Version: 1.0 Content-Type: Text/Plain; charset=iso-2022-jp Content-Transfer-Encoding: 7bit 続けて,C-c C-cを入力すると実際にメールが送信されます.
2.2.5 メールの返信受信したメールに対して返事を書くには,Summaryモードで返信するメール番号にカーソルを合わせ,aを押します. `To:'フィールドや`Cc:'フィールドなどのメールヘッダがMewによって自動的に作成され,返信メールを作成する状態(Draftモード)になります(図2.5).このとき,Emacsの画面は3分割され,1番上が`Summaryモード'のバッファ,中央がメールの内容を表示する`Messageモード'のバッファ,1番下が返事を書くための`Draftモード'のバッファになります.
引用 -- (C-c C-y,A)Mewでは返信メールを作成する状態で,もとのメールの本文を簡単に引用できます.DraftモードでC-c C-yを入力することで,もとのメールの本文の内容が,各行の先頭に`>'が付加された形で本文に挿入されます(図2.5).また,Summaryモードでaを押す代わりにAを押しても引用できます. 同じように,Mewでは複数のメールからの引用が簡単にできます.メールの返信を作成する際,画面が3分割されるので,C-x oもしくはマウスでクリックしてSummaryモードにカーソルを移動します.引用するメールを<SPACE>で選択すると,2番目のバッファにそのメールが表示されます.その状態でDraftモードのバッファにカーソルを移動してC-c C-yを入力すると,Draftモードのカーソルがある位置に選択されたメールを引用できます. 2.2.6 マルチパートメッセージMewでは,``マルチパートメッセージ''という種類のメールを扱えます.マルチパートメッセージとは,メールに画像ファイルやバイナリファイルなどを独立したパートとして添付したものです.メールの受信者は簡単にそのパート部分を取り出してファイルとして保存,編集などができます. ただし,メールを受け取る側が必ずしもマルチパートメッセージを正しく読めるとは限りません.例えば,CNS 内部であっても,相手がメールを読むのにMewを使っていなければ,文章以外は正しく表示されず,画像などは無意味な文字列になってしまうことがあります.マルチパートメッセージを送る際は,相手がマルチパートメッセージを読める環境にあることを確認してから送りましょう.
画像や音声などのパートを加えたメールは,各パートがもとの画像ファイルなどと同じディスク容量を消費し,そのメール自体も大きなファイルとなります.送信する際にネットワークに負荷がかかるので注意してください.
Mewは,画像などさまざまな形式のメールを扱えます.もともとメールは単純なテキストしか扱えませんでしたが,テキスト以外の形式のデータを送る需要が大きくなったため,MIME (Multipurpose Internet Mail Extensions)という規約が決められました.Mewは,この規約に従った方法で,メールを取り扱うようになっています.また,規約の名前を取って,送られるメール自体のことを``MIMEメッセージ''と呼ぶこともあります.
送信可能なデータ形式マルチパートメッセージの各パートのデータ形式は,表2.2に示すものが利用できます.データ形式はファイル名の拡張子から自動的に判断されます.なお,Image/gifなどのデータの表現形式のことを,``Content-Type''と呼びます.
マルチパートメッセージの読み方SummaryモードでMマークがついているメールは,MIMEのマルチパートメッセージです.次のように表示されているSummary一覧があるとします.
_ 32 05/17 Tarou Fujisawa Re: New Design <<藤沢です.この前の件ですが,どう 33 M05/17 Yoshiko Shonan Re: New Design <<----Next_Part(Sat_Feb__8_13 34 05/17 Hanako Fujisawa Thanks. <<花子です.できたらお願いしたいのですが ここで,カーソルをMマークがついたメールに移動させて <SPACE>を押すと,マルチパートメッセージの各パートのContent-Typeが表示され,さらに図2.6のようにパート1の内容が下のウィンドウに表示されます.
32 05/17 Tarou Fujisawa Re: New Design <<藤沢です.この前の件ですが,どう _ 33 M05/17 Yoshiko Shonan Re: New Design <<----Next_Part(Sat_Feb__8_13: 1 Text/Plain 2 image/jpeg 34 05/17 Hanako Fujisawa Thanks. <<花子です.できたらお願いしたいのですが
もう1度<SPACE>を押すと,この例ではパート2は文章ではなくJPEG形式の画像ファイルなので,Messageモードのバッファに次のように表示されます.
###### ###### ####### ##### ###### # # # # # # # # # # # # # # # ## ## # # # # # # # # # # # # # # # ###### ###### # # # #### ###### # # # # # # # # # # # # # # ####### # # # # # # # # # # # # # # # # # # ####### ##### # # # # # # Content-Type: Image/Jpeg Encoding: base64 Size: 98420 bytes Filename: adoguru.jpg Program: xv To execute this external command, type 'C-c C-e'. To save this part, type 'y'. To display this part in Message mode, type 'C-c TAB'. [End of message] ここでC-c C-eを入力すると,xvが起動され,パート2の内容の画像が表示されます.このように,マルチパートメッセージを表示している状態で<SPACE>を押すと,次のパートが順次表示されていきます.パートが文書ではない場合は,画像や音声などといったデータ形式に応じて自動的に適当なツールが選択され,C-c C-eを入力することでパートの表示や再生が行われます.データ形式によっては適当なアプリケーションが見つからない場合がありますが,そのようなデータが含まれたアプリケーションを表示した場合,Messageモードのバッファに次のように表示されます.
###### ### # # # ###### # # # # # ## # # # # # # # # # # # # # # # # # # # ###### # # # # # # ###### # # # # # # # ####### # # # # # # # ## # # # # # ###### ### # # # # # # # Content-Type: Application/Octet-Stream Encoding: base64 Size: 42957 bytes Filename: list.xls To save this part, type 'y'. To display this part in Message mode, type 'C-c TAB'. [End of message] これらのパートはファイル名をつけて保存できます.まず,次のように保存したいパートにカーソルがあることを確認します.
32 05/17 Tarou Fujisawa Re: New Design <<藤沢です.この前の件ですが,どう 33 M05/17 Yoshiko Shonan Re: New Design <<----Next_Part(Sat_Feb__8_13 1 Text/Plain _ 2 image/jpeg 34 05/17 Hanako Fujisawa Thanks. <<花子です.できたらお願いしたいのですが ここでyと押すと,エコーエリアに次のように表示されるので,保存するファイル名を入力します.
File:~/_ マルチパートメッセージの作成マルチパートメッセージを作成するには,Draftモードで本文を入力した後, C-c C-aを入力します.すると,本文の最後に次の5行が追加されます.
------------------------------ attachments ---------------------------- Multipart/Mixed 123/ 1 Text/Plain(guess) CoverPage* 2 ._ --------0-1-2-3-4-5-6-7-8-9-------------------------------------------- この部分を,メールの本文と区別して``添付領域''と呼びます.添付領域はメールを構成するパートのリストで,このリストに添付するファイルを指定してマルチパートメッセージを構成します. 添付領域の各行は,パート番号,パートのデータ形式,パートの名前の3つのフィールドからなります.この例では,1行目の`123/'と表示された行がこのメール全体を表しており,1通のメール全体としてのデータ形式はマルチパートメッセージ形式なので,`Multipart/Mixed'と表示されています.2行めの`CoverPage'と表示された行は,さきほど作成した本文領域を意味しています.本文領域のデータはテキスト形式なので,`Text/Plain'と表示されます.
新しくパートを加えるには,一番下のパートの行,この例の場合だと`2 ._' の行の`.'にカーソルを移動し,
cを押します.エコーエリアに`Copy from:
Copy from : ~/image/hanabi.gif_
ファイルのパスを入力し<RET>を押すと,エコーエリアに`Copy to(hanabi.gif) :'と表示されます.添付する際のファイル名を入力し<RET> を押します.なお,何も入力せずに<RET>を押した場合は( )内に表示されているファイル名がそのまま入力されます.
Copy to (hanabi.gif): _ 以上の作業を行うと,添付領域の表示が変り図2.7のような画面になります.これでhanabi.gifがパートとして加えられたことになります.同様に,他の文書やプログラムソースなどのファイルも新たなパートとして加えられます.
また,Windowsのアプリケーションで作成したファイルなど,表2.2にない形式のデータは原則として``Application/Octet-Stream形式''で送信する必要があります.パートに追加するだけではテキストファイルとして追加されてしまい,受け取る側が正常な形式のファイルとしてメールから切り離せなくなります. 次に,CNS のホームディレクトリに保存されている,Microsoft Excelで作成したsample.xlsというファイルをメールに添付して送る例を示します. メールの本文を作成し,C-c C-aを入力して添付領域を作成します.cを入力して`sample.xls'を新しいパートとして追加すると,添付領域が次のような画面になります.
------------------------------ attachments ---------------------------- Multipart/Mixed 8/ 1 Text/Plain(guess) CoverPage* 2 Text/Plain(guess) sample.xls 3 . --------0-1-2-3-4-5-6-7-8-9-------------------------------------------- このままだと`sample.xls'がテキストとして認識されていますので,明示的にバイナリファイルとして認識させる必要があります.カーソルをバイナリファイルとして認識させたいパートに移動し,Tを入力します.エコーエリアに`Type for sample.xls(Text/Plain)'と表示されるので,次のように`Application/Octet-stream'と入力します.
Type for sample.xls (Text/Plain): Application/Octet-stream_ `sample.xls'のパートのContent-TypeがApplication/Octet-streamに変更され,Base64という方法で符号化(encode)されたことを表すBという英文字がパート番号の前に追加されます.
------------------------------ attachments ---------------------------- Multipart/Mixed 8/ 1 Text/Plain(guess) CoverPage* B 2 Application/Octet-Stream sample.xls 3 . --------0-1-2-3-4-5-6-7-8-9-------------------------------------------- ファイルの添付作業が終了したらC-c C-mを入力します.マルチパートメッセージを送信するための情報が挿入されるので,確認した後,C-c C-cを入力します.
本文を書かずにテキスト以外のファイルだけを添付すると,相手にわかりにくい場合もありますテキスト以外の形式のファイルをMIMEで送信する際には,本文領域に説明の文章をつけ加えましょう.
パートを新たに加える操作は,指定したファイルを作成中のマルチパートメッセージ用のディレクトリにコピーすることで行われています.そのため,`Copy to:'としてコピー先を聞かれたときに,別のファイル名を答えても構いません.ただし,`.gif'などの拡張子はそのままにする必要があります.
添付領域での応用操作マルチパートメッセージを作成する添付領域では, cを入力して新しくパートを加える以外に,表2.3に示した操作ができます.操作を行うパートにカーソルを持っていき,キー入力を行います.
External Body表2.2と表2.3にある``External Body''とは,実際のデータではなくURLなどのデータへの参照情報のみを持ちます.External Bodyを使うことによって,WWW などで公開されているデータへの参照情報のみを1つのパートとして送れます. CNS のユーザ同士でやりとりするメールであれば,External bodytypeとしてlocal-fileを指定し,そのファイルへの参照情報を送ることで,ファイルそのものを送ることなく受信者はファイルを表示できます. メールの実際の中身は次のようなファイルの置かれている位置情報だけで,ファイルそのものを送るわけではありませんが,受信者はMewの中でそのファイルの内容を表示できます. 2.2.7 メールの整理不要なメールを残しておくことはファイル空間の無駄となるだけでなく,ユーザの利便性の観点からも望ましくありません.メールの削除や``リファイル(refile)''による整理を行ってください.
リファイルとは,ホームディレクトリのファイルをディレクトリを作成して整理するように,関連のあるメールを マーキングによる整理Mewでは,Summaryモードで整理する内容に応じてマークをつけます.これを``マーキング''と呼び,マークには消去,リファイルなどがあります.メールを整理するにはマーキングを行い,次に実行(eXecute)を意味するxを入力します.
フォルダとディレクトリ新着メールが取り込まれる`inbox'フォルダも,他のフォルダと同様にMailディレクトリの中にディレクトリとして存在しています.`inbox'フォルダは,ユーザが自分で作成しなくてもあらかじめ用意されており,新着メールを読み込む際には`inbox'フォルダに読み込まれます.
新着メールが取り込まれる`inbox'フォルダと,自分が書いたメールを保存しておく`draft'というディレクトリはユーザが作らなくてもあらかじめ用意されます.この2つは特別なディレクトリなので,コマンドラインから消去しないよう注意してください.
メール番号のつけ直し -- (O)メールの削除やリファイルを行うと,Summaryモードで表示されるメール番号に欠番が生じます.1から番号を振り直すにはOを押します.例えば,次のように2, 3, 5,6番が欠番になっている状態があります.
1 04/20 Hanako Fujisawa New Term <<花子です.学校はじまったけど調子はど _ 4 04/22 Hanako Fujisawa report <<またまた花子.昨日の玲ちゃんすごかった 7 04/22 Hanako Fujisawa meeting <<はなぴょんです.来週の打ち合せだけど, ここでOを入力すると,エコーエリアに次のように表示されます.次に,yまたは<RET>を入力すると,番号のつけ直しの処理がはじまります.
Pack +inbox? (y or n) _
1 04/20 Hanako Fujisawa New Term <<花子です.学校はじまったけど調子はど _ 2 04/22 Hanako Fujisawa report <<またまた花子.昨日の玲ちゃんすごかった 3 04/22 Hanako Fujisawa meeting <<はなぴょんです.来週の打ち合せだけど, このとき,Dマークやoマークがついていたメールは,xを入力したとき同様に削除やリファイルが実行された後で番号がつけ直されます. 2.2.8 メールの検索Mewでは,メールの送信者や宛先,`Subject'などの条件によってメールを検索できます.検索に利用できる条件を表2.4に示します.
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