日本語のかなと漢字の混じった文書をワークステーション上で作成する場合,かなを漢字に変換する必要がある.CNSではWnnと呼ばれるかな漢字変換システムを利用している.キーボードによってはキートップにひらがなや片仮名が書いてあるものや,変換キーのあるものもあるが,これらを利用した日本語入力は行えない.日本語の入力は,`たまご'と呼ばれるMule上のかな漢字変換システムを用いて行う.
Muleのモードラインの左端が,次のように`[-]'になっている状態をたまごの透過モードと呼ぶ.
[--]J_:-----Mule: *scratch* (Lisp Interaction)----All----------
透過モードでC-\(C-)を入力すると,たまごが起動されローマ字かなモードに切り替わる.ローマ字かなモードに切り替わるとモードラインの左端が`[あ]'に変わる.
[あ]J_:-----Mule: *scratch* (Lisp Interaction)----All----------
C-\(C-)を入力しても,モードラインが`[aa]'や`[aA]'となり,かな漢字変換ができなくなってしまう場合は, C-x C-k mを入力すると次のメッセージが表示されるので,``1.roma-kana''を選択すれば,かな漢字変換モードに戻る.
Mode: 0.PinYin 1.roma-kana 2.roma-kata 3.downcase 4.upcase
ローマ字かなモードで文字を入力すると,ローマ字仮名変換されたひらがなが,縦棒2本の間に表示される.例えば,キーボードから`keiougijukudaigakushounanfujisawakyanpasu'と入力すると,次のようにウィンドウに表示される.
|けいおうぎじゅくだいがくしょうなんふじさわきゃんぱす|
|
xa | → | ぁ | xi | → | ぃ | xu | → | ぅ | xe | → | ぇ | xo | → | ぉ | |||||
xya | → | ゃ | xyu | → | ゅ | xyo | → | ょ | xtu | → | っ | xwa | → | ゎ |
hani | → | はに | kinyou | → | きにょう | |
han'i | → | はんい | kin'you | → | きんよう | |
haNi | → | はんい | kiNyou | → | きんよう |
wi | → | ゐ | we | → | ゑ | vu | → | ヴ | ||
di | → | ぢ | du | → | づ |
, (カンマ) | → | 、(句点) | [ |
→ | 「 | - | → | ー | ||
. (ピリオド) | → | 。(読点) | ] |
→ | 」 |
フェンスモードで,<SPACE>またはC-wを入力すると,かな漢字変換を行える.かな漢字変換中,モードラインは次のようになる.
[漢]J_:-----Mule: *scratch* (Lisp Interaction)----All----------
|慶応義塾大学 小難 藤沢 キャンパス|
'によって文節に区切られている.この例では,`慶応義塾大学',`小難',`藤沢',`キャンパス'の計4つの文節がある.
まず,`慶應義塾大学'という単語を出すために,<SPACE>を繰り返し押して次候補を出す.この場合は<SPACE>を1回押した時点で`慶應義塾大学'という単語が出たので,この文節は確定である.
|慶応義塾大学 小難 藤沢 キャンパス| |慶應義塾大学 小難 藤沢 キャンパス|
|慶應義塾大学 小難 藤沢 キャンパス| |慶應義塾大学 沼南 藤沢 キャンパス| |慶應義塾大学 湘南 藤沢 キャンパス|
変換結果を確定するには,C-lまたは<RET> を入力する.これによりフェンスは消え,ローマ字かなモードに戻る.また,C-kによってカーソルより前の文節を確定し,カーソル以降の文節のみをフェンスモードに残すこともできる.
慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス_
かな漢字変換の際にM-sを入力すると,次のようにかな漢字変換での候補の一覧がエコーエリアに表示される.
次候補: 0.慶応義塾大学 1.慶應義塾大学 2.ケイオウギジュクダイガク
|慶應義塾大学 小難 藤沢 キャンパス|
ほぼ全ての記号はかな漢字変換によって入力できる.例えば,`まる'を変換すると`●',`○',`◎',`◯'が候補として現れる.また,キーボードに書いてある記号を変換して次候補をとると,全角の記号が現れる.例えば,`%'を変換すると`%'が候補として現れる.
普段日本語のかな漢字変換に利用されない`z'を利用して,`z+1文字'でも記号を入力できる(表1.7).また,大文字のZに1文字を加えると,その文字が全角となって表示される.
zn | → | ′ | Zn | → | n |
|
小文字`q'または大文字`Q'に続けてキーを入力すると,ひらがなではなくそのままローマ字で表示される.小文字`q'に続けると半角ローマ字で,大文字`Q'に続けると全角ローマ字で入力できる.例えば,`qkeiougijukudaigaku'と入力すると,次のようにかなに変換されずに表示される.
|keiougijukudaigaku|
~
+1文字'入力
ローマ字かなモードで,`~
'につづいて入力された文字はひらがなにはならない.例えば,`~n
'と入力することによって,透過モードに戻ることなく,小文字のnを入力できる.
C-^
を入力すると,次のメニューがエコーエリアに表示され,JISコードによる漢字のコード入力,記号やギリシャ文字の入力などを行える.
C-b,C-f,または0から5までの数字キーなどを使ってカーソルを移動し,<RET>で確定する.
0.JIS入力 1.記号 2.英数字 3.ひらがな 4.カタカナ 5.ギリシャ文字
0.ロシア文字 1.罫線 2.部首入力 3.画数入力 4.第一水準 5.第二水準
0.А 1.Б 2.В 3.Г 4.Д 5.Е 6.Ё 7.Ж 8.З 9.И 10.Й
かな漢字変換で,よく使う単語が1度で変換できないのは不便である.このような場合,ユーザは自分用の辞書に単語を新たに登録できる.Wnnでは,各ユーザが別々に辞書,頻度情報を持っているので,かな漢字変換を使うにつれて各ユーザにあった変換がなされる.
`アドグル'という単語を辞書に登録する例として説明する.
アドグル ←ここでC-<SPACE>またはアドグル_C-@を押してマークをセット
カーソルを単語の1文字後ろに移動
←ここでM-x toroku-regionと入力
[あ]辞書登録『アドグル』 読み : _
[あ]辞書登録『アドグル』 読み : あどぐる_
登録辞書名: 0.private
品詞名: 0.普通名詞/ 1 .固有名詞/ 2.動詞/ 3.特殊な動詞/ 4.動詞以外の用言/
品詞名: 0./ 1 .人名 2.地名 3.人名&地名 4.固有名詞 5.姓 6.名
辞書項目『アドグル』(あどぐる : 固有名詞)をprivateに登録しました.
CNSのユーザの名前は,原則としてすべて辞書に登録されている.ただし,1年生の名前が登録されるまでには,しばらく時間がかかる.名前を変換して次候補を表示させていくことにより,名前からログイン名を調べたり,逆にログイン名を変換して名前を調べたりできる.
例えば,``うの''を変換すると,うの→鵜の→鵜野→宇野→unodb(鵜野 公郎)→ ...となり,逆に``unodb''を変換すると,鵜野 公郎(うの きみお)→unodb→unodb→ ...となる.
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