ファイルのバックアップとは,不慮の事故に備えてファイルのコピーを予備として保管しておくことである.ホームディレクトリ以下のファイルは,機械の故障によるファイルの損失に備えてメディアセンターによって定期的にバックアップが取られている.しかし,個人的なコマンドの操作ミスでファイルを消去した場合は,ファイルを復旧できない.そのため,損失の被害を抑えるためにユーザは各自でバックアップを定期的に取るとよい.
バックアップをとるのに,1つ1つファイルをコピーするのは非常に面倒である. tarコマンドを使用して,ディレクトリ以下のファイルやディレクトリをまとめて1つのアーカイブファイルにまとめられる.
tarコマンドは次のように実行する.tarコマンドのオプションには,マイナス記号(-)をつける必要はない.また複数のファイル,ディレクトリをまとめたいときは並べて指定する.
% tar [オプション] [アーカイブファイル名] [まとめたいファイル,ディレクトリ名]<RET>
c | アーカイブファイルを作成する |
x | アーカイブファイルからもとのファイルを復元する |
t | アーカイブファイルの中身を見る |
v | コマンドが作業状況を報告する |
f | アーカイブファイルの名前を指定する |
tarコマンドによるアーカイブファイルの作成は,バックアップの用途以外にもファイルの整理にも利用される.例えば,Mailディレクトリ以下のファイルをアーカイブファイルにする例を次に示す.
% tar cf Mail.tar Mail<RET> % ls<RET> Mail Mail.tar usr.tar pub % gzip -9 Mail.tar<RET> % tar xf usr.tar<RET> % ls<RET> Mail Mail.tar.gz usr usr.tar pub % _
生成されたアーカイブファイルは圧縮をしたり暗号をかけることができ,それをフロッピーディスクにコピーしてバックアップできる.
CNSのホームディレクトリとWindows,Macintoshの間では,フロッピーディスクを使ってファイルを移動できる.
フロッピーディスクを使用する前にはフォーマットが必要である.一般に市販されている3.5インチのフロッピーディスクには2DDと2HDの2種類がある.CNSではさまざまな機種のコンピュータがあるが,どのコンピュータでも利用できるようにするためには,通常は3.5インチで2HDのフロッピーディスクを1440KBでフォーマットするとよい.詳しくは第II部 2.6.1を参照すること.