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1.5 ファイルの暗号化

ファイルを保護するには,ファイルの持つ属性をchmodコマンドで変更する以外にも,ファイルを暗号化する方法がある.

例えば`hello'という英文字5文字の文字列があったとする.この英文字をそれぞれアルファベットの2つ後の文字で置き換えると,`jgnnq'という文字列になる.このとき,`hello'を平文,`jgnnq'を暗号文,2つ文字をずらすことを暗号化に使用した鍵とみなすことができる.暗号文を見ても,鍵を知らない限りはもとの平文を復元できない.これが最も単純な暗号化の原理である.

作成された暗号文は,鍵となる文字列を知らない限りは情報を読み取れなくなってしまうが,ある特定のユーザ間で他人に内容を知られることなくファイルを共有するときなどは,この暗号化を用いるとよい.


1.5.1 暗号文の作成 -- uudes

% uudes [-ed] [-k キーワード] [平文ファイル] [暗号文ファイル]<RET>

オプション


-e ファイルを平文から暗号文にする.
-d ファイルを暗号文から平文を復元する.
-k [キーワード ] [キーワード ]は鍵となる文字列を指定する.省略すると, uudesコマンドを実行した直後に,コマンドラインで鍵を入力するよう求められる.

平文ファイル

暗号化する前の元ファイルを指定する.省略すると標準入力が指定される.

暗号文ファイル

暗号化したファイルの名前を指定する.省略すると標準出力に暗号文が出る.

なお,-eオプションも-dオプションも省略したときは,-eオプションが指定されたことになる.

1.5.2 ファイルの暗号化 -- des

% des [平文ファイル]<RET>
% des [暗号文ファイル.n]<RET>

1行目は暗号化を行う書式,2行目はもとのファイルを復元する書式である.コマンド実行直後に鍵となる文字列を直接打ち込むよう指示される.暗号化の際は,キーボードの入力ミスを防ぐために,打ち込まれた文字列単語が続けて一致するまで何度でも確認を求めてくる.ただし,平文に戻すときに鍵となる文字列の入力を間違えると,ファイルが破壊されてしまい,復元不可能になってしまうので注意すること.

desコマンドでは暗号化した直後に,もととなる平文のファイルは消去され,代わりにfile.nのように,もとのファイル名の末尾に.nがつけられた新しいファイルが作られる.このファイルが暗号化されたファイルである.

desコマンドで暗号化されたファイルをlesscatコマンドで見ようとすると,画面がおかしくなってしまうことがある.その場合の対処については第XI部 4.3 を参照すること.

% ls<RET>
file1
% cat file1<RET>
This is a test file.
% uudes file1 > file2<RET>
Type password for file1:<RET>
% ls<RET>
file1           file2
% cat file2<RET>
DES7$.(Q,A].\6'O2*["!'4.QY!XJ&!_.?.'VI!5

Type password for file2: <RET>
This is a test file.
% des file1<RET>
Type password for file1: <RET>
Verify password for file1: <RET>
% ls<RET>
file1.n         file2
% des file1.n<RET>
Type password for file1.n: <RET>
Verify password for file1.n: <RET>
% ls<RET>
file1           file2
% cat file1<RET>
This is a test file.
% _
uudesコマンドは作成した暗号文を,指定されたファイルや標準出力に出力するが,desコマンドはもととなるファイルを消して,新しく暗号化されたファイルを作成する.desコマンドを使用するときは十分に注意すること.




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