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1.2 UNIXのウィンドウ操作

ここからは,CNSの標準のウィンドウマネージャであるfvwm2でのウィン ドウ操作について説明する.fvwm2でマウスを操作する際は,マウスカー ソルの形やタイトルバーの色の変化によって,マウスカーソルが現在どの場所 を指しているかが分かる.ここでは,図のシェルウィ ンドウを例として,ウィンドウの移動や大きさの変更などの主な操作方法に ついて説明する.


  
図: シェルウィンドウ(kterm)



   
ウィンドウの移動

マウスカーソルを図のBの部分に合わせ,マウスの中ボ タンをプレスすると,ウィンドウの外枠に沿って点線が表示される.この点線 枠はマウスに合わせて動くので,移動したい場所に動かしてボタンをリリース する.すると点線部分にウィンドウが移動する.

ウィンドウの重なり

ウィンドウは他のウィンドウと重なり合うことがある.ウィンドウが他のウィ ンドウによって隠れてしまったとき,その隠れているウィンドウを``下にある ウィンドウ'',隠している方のウィンドウを``上にあるウィンドウ''と呼ぶ. すべてのウィンドウは,ルートウィンドウの上で常にこのような上下関係を持 つ.

のBをマウスの左ボタンでクリックすると,そのウィ ンドウが1番上になる.図のBを右ボタンでクリックす ると,そのウィンドウが画面上で1番下になる.

   
アイコン化

のCをクリックすると,そのウィンドウはアイコンに なる.これをアイコン化という.もとの状態に戻すには,アイコンを左ボ タンでクリックする.

   
ウィンドウの大きさ変更

のDをプレスすると,ウィンドウの外枠に沿って点線 が表示される.この点線枠をプレスしたまま動かすことで,ウィンドウの大き さを変更する.目的の大きさに合わせてボタンをリリースすると,ウィンドウ の大きさが変更される.

アイコンの移動

マウスカーソルをアイコンに合わせて中ボタンでドラッグし,ボタンをリリー スすると,アイコンが移動する.

   
プルダウンメニュー

のAをプレスするとメニューが縦に並んだプルダウン メニューが表示される.そのままマウスを動かし,希望の項目のところでボタン をリリースすると,選択したメニューの項目に対応する動作が行われる.図 に,それぞれの項目と対応するウィンドウ操作 を示す.





プルダウンメニュー  





* Move ウィンドウを移動する
* Resize ウィンドウの大きさを変更する
* Raize ウィンドウを他のすべてのウィンドウの上にする
* Lower ウィンドウを他のすべてのウィンドウの下にする
* Iconify ウィンドウをアイコン化する
* (Un)Stick ページを移動した際に,ページの移動に関わらず画面にウィンドウが表示される
* Destroy ウィンドウを破壊し,そのウィンドウ上で動作しているアプリケーションを終了する
* Delete ウィンドウを閉じる






``Destroy''は異常終了のもととなるので,カーソルが戻ってこなくなったと き,入力を受けつけなくなったとき以外は使用しないこと.




     
1.2.1 FvwmButtonsの操作

fvwm2のFvwmButtonsはユーザがよく使用すると思われるアプリケーショ ンを簡単に起動するためのもので,複数の絵が並んだウィンドウを持つ.この 絵をマウスでクリックして選択すると,その絵に対応するアプリケーションを それぞれ起動できる.

FvwmButtonsを図に示し,起動できるアプリケー ションについて説明する.


 

FvwmButtons




* Shell 新たなシェルウィンドウ
* Mule 文章を作成するためのmuleというエディタ
* Xman X Window System上のマニュアル
* Xcalc 計算機
* Xclock 時計
* Xpaint 絵を描くためのxpaintというツール
* Xv 画像ファイルを扱うためのxvというツール
* Kill プルダウンメニューの中のDestroyと同じ機能




ボタンを押してから選択されたアプリケーションが表示されるまでには,多少 時間がかかる.ボタンが1度押されるたびにアプリケーションが起動されるの で,すぐに表示されないからといって連続してボタンを押さないこと.

      
1.2.2 ページャ(FvwmPager)の操作

fvwm2は仮想のルートウィンドウ(ページ)を複数持ち,ユーザはマウ スでページャ(FvwmPager)を操作してルートウィンドウを切り替えられる.ペー ジャのウィンドウは,標準環境では3×3の9つの領域に分かれている. この9つの領域の1つ1つがページを表しており,色の変わっているページが 現在ユーザが作業を行っている``カレントページ''である.   次に,ページャ内の各ページにAからIまでのラベルをつけ (図),ページ操作の説明を行う.


  
図: Fvwmページャ


連続するページの移動

ログインした直後は図のウィンドウのようにページAがカレ ントページとなっている.ページ内でカーソルを動かし,カレントページの端 までカーソルを移動すると,隣のページに移動できる.例えば,ページAの右 端までマウスカーソルが移動すると,画面が切り替わり,ページBに移る.こ のときマウスカーソルはページBの左端に現れる.つまりページAの右端とペー ジBの左端はウィンドウシステム内でつながっている.

しかし,ページCの右にはこれ以上のページがないので,ページCの右端までマ ウスカーソルを動かしても,それ以上ページは切り替わらない.これは,ペー ジャの左端,上端,下端についても同じである.

ページャを利用した移動

ページャ内で移動したいページをマウスの左ボタンでクリックすると,ページを移 動できる.ページAからページIへ移動するときには,ページャ内のページIの 領域をクリックすればよい.また,ページャ内でマウスの右ボタンをプレスし てマウスを動かすと,カレントページをページャ内の適当な場所に移動できる.

ページャを利用したウィンドウの移動

ページャ内に表示されている移動するウィンドウを中ボタンでドラッグし,ペー ジ間をまたがったウィンドウの移動を容易に行える.



   
1.2.3 ウィンドウメニュー

マウスカーソルがルートウィンドウにあるときにマウスボタンをプレスすると, メニューが表示される.左ボタンをプレスすると`Window Ops'メニュー,中ボ タンをプレスすると`Window List'メニュー,右ボタンをプレスすると `Applications'メニューがそれぞれ表示され,ドラッグによりさまざまな操作 を選択できる.


   
左ボタン : Window Opsメニュー

ルートウィンドウが表示されているところで左ボタンを押すと`Window Ops'メ ニューが表示される.これはシェルウィンドウのプルダウンメニュー ()と同じもので,図 と同様のメニューが表示される.ドラッグによっ て目的の操作を選択するとマウスカーソルの形が変わるので,操作対象のウィ ンドウをクリックする.


    
中ボタン : WindowListメニュー

ルートウィンドウが表示されているところで中ボタンを押すと,`Window List'メニューが表示される.メニューには現在起動しているウィンドウの一 覧が表示される.リストの項目をドラッグによって選択すると,指定されたウィ ンドウが最も上に表示される.


   
右ボタン : Applicationsメニュー

ルートウィンドウが表示されているところで右ボタンを押すと, `Applications'メニューが表示される(図). メニューの中からドラッグによって選択されたアプリケーションを起動できる.




Applicationsメニュー  





に示した項目により,それぞれ次のような アプリケーションを起動できる.


* Shell 新たなシェルウィンドウ
* Mule 文書を作成するためのmuleというエディタ
* Manual X Window System上のマニュアル





   
1.2.4 シェルウィンドウの便利な機能

シェルウィンドウにはさまざまな便利な機能がある.ここではその例を示す.

    
カット&ペースト

カット&ペーストとは,ウィンドウ間で文字をコピーする操作である. 他のウィンドウでの出力をそのまま別のウィンドウに入力するときなどに カット&ペーストを使用する.

コピーする始点で左ボタンをドラッグすると,その始点から現在マウスカーソ ルのある位置までの文字が黒反転する.そのままコピーする文字の終点でボタ ンをリリースすると,表示が反転している部分がコピー元として記憶される. これを``カット''という.文字を貼りつけるウィンドウにマウスカーソルを移 動して中ボタンをクリックすると,ウィンドウ上のカーソルの位置にコピーし た文字が表示される.これを``ペースト''という(図).


  
図: カット&ペーストをしている画面

   
バックスクロール

ウィンドウ内に多くの文字が表示されると,最上段の1行が消え,各行が1行ず つ上に移動する.新しい行は最下段に表示される.これを``スクロール''とい う.

  ウィンドウの左端についているスクロールバーを使うと,スクロールによって 消えてしまった文字を見れる.スクロールバーを利用するには,マ ウスカーソルをバーに合わせ,中ボタンでスクロールバーを上下にドラッグす る.スクロールバーが最も上に移動した状態より前の文字は見れない.

   
1.2.5 シェルウィンドウのポップアップメニュー

マウスカーソルがシェルウィンドウの中にあるときに,<CTRL>を押し ながらマウスボタンをプレスするとメニューが表示される.左ボタンをプレス すると`Main Options'メニュー,中ボタンをプレスすると`VT Options'メニュー, 右ボタンをプレスすると`VT Fonts'メニューがそれぞれ表示される. そのままマウスカーソルを選択する項目に移動しリリースすることで, シェルウインドウの設定を操作できる. 設定をもとに戻すためには再度同じ項目を選択すればよい. 次に,それぞれメニューの項 目を挙げ,その中から特によく使用するものに関しての説明を行う.







Main Options  





VT Options  











VT Fonts  



   
左ボタン : Main Optionsメニュー

シェルウィンドウ内で<CTRL>と同時にマウスの左ボタンをプレスす ると,`Main Options'メニューが表示される.メニューの中から[Secure Keyboard]を選択すると,それ以降のキー入力を,マウスの位置に関わらずそ のウィンドウへの入力にできる.また,[Log to File]を選択する と,以後kterm上に表示された文字がすべてログファイルとしてホームディレ クトリに記録される.

   
中ボタン : VT Optionsメニュー

シェルウィンドウ内で<CTRL>と同時にマウスの中ボタンをプレスす ると,`VT Options'メニューが表示される.メニューの中から[Enable Scrollbar]を選択するとktermの左脇にスクロールバーが表示され,[Enable Reverse Video]を選択すると画面が反転表示される.

[EUC Kanji Mode]や[Shift-JIS Kanji Mode]を選択することに より,端末表示の漢字モードとしてEUC漢字コードやMS漢字コード(Shift-JIS 漢字コード)を指定できる.端末の漢字コードがうまく設定されずにウィンド ウの文字の表記が読めなくなって(文字化けして)しまった場合などは[Do Full Reset]を選択してktermを初期状態に戻せる.

   
右ボタン : VT Fonstsメニュー

シェルウィンドウ内で<CTRL>と同時にマウスの右ボタンをプレスする と,`VT Fonts'メニューが表示される.[Default],[Tiny],[Small], [Medium],[Large]を選択し,ウィンドウ内で表示に利用する文字の大きさを 指定できる.メニューの横に印がついているのが,現在選択されている文字の 大きさである.

ポップアップメニューはユーザのログインしている端末によって異なるので注 意すること.