電子メールはインターネットに接続された,電子メールを配信するためのコンピュータ(メールサーバ)と,電子メールを送受信するためのツール(メールクライアント)により構成されている.
メールを送受信するためには,郵便における氏名と住所に相当する``メールアドレス''が必要となる.通常,メールアドレスはユーザ名とドメイン名から構成される.ドメイン名とはユーザの所属する場所や組織を示すものである.CNSの場合,ドメイン名は`sfc.keio.ac.jp'であり,ユーザのメールアドレスは`ログイン名@sfc.keio.ac.jp'となる.
メールサーバは手紙の配送における郵便局のような役割を担い,SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)サーバとPOP(Post Office Protocol)サーバと呼ばれるプログラムが機能している. SMTPサーバは郵便物の回収と配達の役割を担う.ユーザがメールの送信を要求すると,ユーザが指定したSMTPサーバはメールアドレスを解析し,宛先ドメインのSMTPサーバにメールを送信する.宛先がサーバの属するドメイン内である場合は,SMTPサーバは宛先ユーザのシステムメールボックスに保存する.システムメールボックスとは各ユーザに割り当てられた私書箱に相当する.
POPサーバは私書箱への窓口の役割を担う.ユーザはメールを読む際,システムメールボックスからメールを取り込む必要がある.これをメールの受信と呼ぶ.メールを受信する際にはユーザ認証が必要となる.
メールクライアントはメールサーバとユーザの通信の補助,およびユーザのメール管理のためのアプリケーションである.メッセージ送信の際のメールサーバとの通信や,受信の際はシステムメールボックスからのメール取り込みなどの役割を担う.メールクライアントには,送信元のアドレスから判断して,メールの仕分けを行う機能があるものもある.CNS環境で利用できるメールクライアントの設定方法,操作方法については第V部 2.1を参照すること.
メールは宛先や差出人,差出し日時などを示すヘッダ領域と,手紙の中身に相当する本文領域の2つから構成される.ヘッダ領域は,表1.1に示す各フィールドで構成されており,ユーザが主に入力するものはTo:,Cc:,Subject: である.To: にはメールの主要な宛先を入力する.Cc: (カーボンコピー)は,他人へのメールを控えとして自分にも送信する場合などに利用する欄である.メールの送信に関してはTo:フィールドに入力するのとまったく同じであるが,To:フィールドにはそのメールを読んでほしいユーザのメールアドレス,Cc:フィールドはそのメールを参考までに送るユーザのメールアドレスという意味合いがある.自分のアドレスがCc:フィールドの場合は受けとったメールを読み飛ばす人もいるので注意すること.Bcc: (ブラインドカーボンコピー)はCc:フィールドと同じ働きをするが,メールの受け手はBcc: フィールドに記載されたメールアドレスを見ることはできない.
メールはコミュニケーションの一手段である.ユーザは利用に際して次のようなことに注意する必要がある.
メールアドレスの書き間違いは,無関係な人にメールが届く,システムに無用な負担をかけるなどの弊害がある.メールを送信する前にメールアドレスを再確認すること.
無駄な引用や1行がむやみに長い文章などは,受け手の読みやすさという点から問題となる.1行の長さは70字(全角文字では35字)程度に調整すべきである.Muleには半角70文字で自動的に改行を行う機能がある.メール作成の際にこの機能を利用するには.emacsというファイルに以下の内容を記述するとよい.
(setq mew-draft-mode-hook (function (lambda () (auto-fill-mode 1))))
メールは物理的に離れた場所や,無関係な大量の人々に情報を伝達することも可能であるのでプライバシーを侵害するような内容や個人への誹謗,中傷といった内容は避ける.また,著作権の保護に留意することも必要である.
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