2003 CNS GUIDE
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8.3 ファイルのバックアップ

ファイルのバックアップとは,不慮の事故に備えてファイルのコピーを予備として保管してお くことを指します. ホームディレクトリ以下のファイルは,機械の故障によるファイルの損失に備えてITCによって定期的に バックアップが取られています. しかし,個人的なコマンドの操作ミスでファイルを消去した場合,ファイルの復旧サービスは行われていません. そのため,損失の被害を抑えるためにユーザは各自でバックアップを定期 的に取る必要があります.

8.3.1 複数のファイルやディレクトリをまとめる -- (tar)

バックアップをとるのに,一つ一つファイルをコピーするのは非常に面倒です. tarコマンドを利用すると,ディレクトリ以下のファイルやディレクトリを 1つのファイルにまとめられます. tarコマンドにより作成されたファイルの 拡張子は一般的に`.tar'です.

tarコマンドもgzipコマンドと同様に オプションの代わりにキーを使用します. また複数のファイルやディレクトリをまとめたいときは並べて指定してください.

tar [キー] [アーカイブファイル名] [まとめたいファイル,ディレクトリ名]

キー

c アーカイブファイルを作成する.
x アーカイブファイルからもとのファイルを復元する.
t アーカイブファイルの中身を見る.
v コマンド実行中に圧縮,解凍したファイルを表示する.
f アーカイブファイルの名前を指定する.

tarコマンドによるアーカイブファイルの作成は,バックアップの用途以外にもファイルの整理にも利用されます. 次に`Mail'ディレクトリ以下のファイルをアーカイブファイルにまとめて,圧縮する例を示します.

% tar cf Mail.tar Mail <ENTER> ← `Mail'以下のファイルをアーカイブファイルにまとめる
% ls <ENTER> 
Mail    Mail.tar    usr    pub
% gzip -9 Mail.tar <ENTER>  ← アーカイブファイル`Mail.tar'を最高の圧縮率で圧縮する
% ls <ENTER> 
Mail    Mail.tar.gz    usr    pub
% _

ここでは,`Mail'ディレクトリ以下のファイルを,`Mail.tar'というアーカイブファイルにまとめています. tarコマンドのキーにvを指定すると,処理状況が表示されます.

8.3.2 ホームディレクトリのバックアップ

ホームディレクトリのバックアップをとるためには,ホームディレクトリ全体を圧縮すると効率的です. 次にtarコマンド([*])と gzipコマンド([*]) の例を示します.

% tar cf /home/archives/t03000tf/backup.tar /home/t03000tf <ENTER> ← ホームディレクトリをアーカイブファイルにまとめる
% cd /home/archives/t03000tf <ENTER> 
 ← ホームディレクトリを圧縮したディレクトリに移動する
% gzip -9 backup.tar <ENTER> ← アーカイブファイル`backup.tar'を最高の圧縮率で圧縮する
% ls <ENTER> 
backup.tar.gz
% chmod 600 backup.tar.gz <ENTER> ← 他人からのアクセスを拒否する
% _