22.4 メッセージの整理

不要なメッセージを残しておくことはファイル空間の無駄となるだけでなく，ユーザの利便性の観点からも望ましくありません．メッセージの削除や``リファイル'' (refile)による整理を行ってください．

リファイルとは，関連のあるファイルをディレクトリごとに分けて整理することです．ユーザのホームディレクトリに，受信したメッセージが保存される `Mail'ディレクトリがあり，電子メールのリファイルは，関連のあるメッセージを Mailの下にディレクトリを作成して行います．ユーザはMewを利用して簡単にリファイルを行えます．

22.4.1 フォルダとディレクトリ

新着メッセージが取り込まれる`inbox'フォルダも，他のフォルダと同様に Mailディレクトリの中にディレクトリという形で存在しています(図22.8)． inboxフォルダは，ユーザが自分で作成しなくてもあらかじめ用意されており，新着メッセージはinboxフォルダに読み込まれます．

図 22.8 フォルダとディレクトリ

リファイル先への移動 -- (g)
inboxフォルダからリファイルしたメッセージを読むには，Summaryモードでgを押します．次のようにフォルダ名の入力を求められるので，リファイル先のフォルダ名を入力します．
```
Folder name (+inbox): +_
```
コマンドによるメッセージの編集
メッセージの編集はMail以下のディレクトリで行われます．例えばユーザt03000tfの `circle'にリファイルされた1通目のメッセージは `/home/t03000tf/Mail/circle/1'というファイルです．このファイルは普通のテキストファイルなので，moreやcp，mv などのコマンドで表示，コピー，移動したり，a2psコマンド()や lprコマンド() コマンドを利用して印刷できます．次にinboxフォルダの 10通目のメッセージをnps12で印刷する例を示します．

% a2ps -p ~/Mail/inbox/10 | lpr -Pnps12 <ENTER>
% _

`inbox'フォルダと，`draft'フォルダはユーザが作らなくてもあらかじめ用意されます．この2つは特別なフォルダなので，消去しないよう注意してください．

22.4.2 マーキングによる整理

Mewでは，Summaryモードでメッセージの消去やリファイルといった整理をするには，一度その内容に応じてマークをつけます．これを``マーキング''といいます．メッセージを整理するにはマーキングを行い，次に実行(eXecute)を意味するxを入力します．

消去 -- (d)
不必要なメッセージを消去するには，Summaryモードで消したいメッセージ番号にカーソルを移動してdを押します．メッセージ番号と日付の間に，消去(Delete)を意味するDマークがつき，xを押すとメッセージが消去されます．
```
  29D 04/20 Hanako Fujisawa New Term || 花子です．学校はじまったけど調子
_ 30  04/22 Hanako Fujisawa report || またまた花子．昨日のレポートだけど，31  04/22 Hanako Fujisawa meeting || 藤沢です．来週の打ち合せについて
```
xを入力し，消去したメッセージは，一時的に`~/Mail/trash'フォルダに移動されます．
メッセージを`trash'フォルダから完全に削除したい場合，SummaryモードでDを押します．次のようにエコーエリアに表示されます．
```
Remove all messages in +trash? (yes or no) _
```
ここで，yesと入力すると trashフォルダ内のメッセージが完全に削除されます．この作業を行ったメッセージは復旧できないので，注意して実行してください．
リファイル -- (o)
メッセージをリファイルするには，Summaryモードでリファイルするメッセージ番号にカーソルを移動し，oを押します．次のようにエコーエリアに表示されます．
```
Folder name (+circle): +_
```
ここで，リファイル先のフォルダ名を`circle'などのように入力します．この時，入力したフォルダが存在しないと，次のように新しいリファイル先フォルダを作成するかどうかを尋ねられます．
```
+circle doesn't exist. Create it? (y or n) _
```
ここでyを入力すると，`~/Mail'以下に `circle'というフォルダが作成され，メッセージがそこにリファイルされます．また，リファイル先の名前を入力する際に，(+circle)などのように `From:'などの値からリファイル先をMewが推測して表示するので，かっこ内のフォルダでよい時は<ENTER>を押します．
リファイルするフォルダを指定すると，カーソルのあるメッセージの番号の後にoマークがつきます．
```
  29  04/20 Hanako Fujisawa New Term || 花子です．学校はじまったけど調子
_ 30o 04/22 Hanako Fujisawa report || またまた花子．昨日のレポートだけど，31  04/22 Hanako Fujisawa meeting || 藤沢です．来週の打ち合せについて
```
取消し -- (u，U)
Mewではマーキングを行っても，xを押して処理を実行しない限り，処理は実行されず，マークを外して処理を取り消せます．マークを外すには，マークを外すメッセージ番号にカーソルを移動して uを押します．またUを押すと，メッセージについている任意のマークをすべて外せます． Dマークがついているメッセージがあり，そのすべてのDマークを外す例を次に示します．
```
  29D 04/20 Hanako Fujisawa New Term || 花子です．学校はじまったけど調子
_ 30D 04/22 Hanako Fujisawa report || またまた花子．昨日のレポートだけど，31  04/22 Hanako Fujisawa meeting || 藤沢です．来週の打ち合せについて
  32D 04/22 Tarou Fujisawa  How are you? || ふじさわ．履修申告も終って
```
ここでUを入力するとエコーエリアに`Input mark :'と表示されるので，Dを入力します．
```
Input mark :D_
```
これでSummaryモードですべてのDマークを外せます．
```
  29  04/20 Hanako Fujisawa New Term || 花子です．学校はじまったけど調子
_ 30  04/22 Hanako Fujisawa report || またまた花子．昨日のレポートだけど，31  04/22 Hanako Fujisawa meeting || 藤沢です．来週の打ち合せについて
  32  04/22 Tarou Fujisawa  How are you? || ふじさわ．履修申告も終って
```
実行 -- (x)
マーキングを行い，実際に消去やリファイルを行うには，eXecute(実行)を意味するxを入力します． 1度xを入力すると処理を取り消せないので注意してください．
メッセージ番号のつけ直し -- (O)
メッセージの削除やリファイルを行うと，Summaryモードで表示されるメッセージ番号に欠番が生じます． 1から番号を振り直すにはOを入力します．例えば，次のように2，3，5，6番が欠番になっている状態があります．
```
  1 04/20 Hanako Fujisawa New Term || 花子です．学校はじまったけど調子はど
_ 4 04/22 Hanako Fujisawa report || またまた花子．昨日のレポートだけど，7 04/22 Hanako Fujisawa meeting || 藤沢です．来週の打ち合せについて
```
ここでOを入力すると，エコーエリアに次のように表示されます．次に，yまたは <ENTER> を入力すると，番号のつけ直しの処理がはじまります．
```
Pack +inbox? (y or n) _
```
処理が終るとエコーエリアに `Listing +inbox ... done' と表示され，Summaryが再表示されます．
```
  1 04/20 Hanako Fujisawa New Term || 花子です．学校はじまったけど調子はど
_ 2 04/22 Hanako Fujisawa report || またまた花子．昨日のレポートだけど，3 04/22 Hanako Fujisawa meeting || 藤沢です．来週の打ち合せについて
```
このとき，Dマークやoマークがついていたメッセージは，xを入力した場合と同様に削除やリファイルが実行された後で番号がつけ直されます．