2003 CNS GUIDE
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1.3 IPアドレス

ネットワークに接続されているコンピュータは `IP' (Internet Protocol)というプロトコルを使って通信します. IPを使った通信では,各々のコンピュータを特定することが必要です. このとき使われるのが``IPアドレス''というIDです. 1つのIPアドレスで指されるコンピュータは必ず1つなので,IPアドレスを使うと通信相手のコンピュータを特定できます.

IPアドレスを使って識別できるコンピュータの数はIPのバージョンによって異なります. 現在のネットワークで広く使われている `IPv4' (IP version 4) では,IPアドレスは32ビットで表現されることに なっているので,約43億台のコンピュータを識別できます. これに対して次世代のIPである `IPv6' (IP version 6) では,128ビットでIPアドレスを表現する ことにより,約1038台のコンピュータを識別できるようになります. 現在IPv4からIPv6への移行は徐々に進んでいます. しかし,CNS では主にIPv4が使われているので,本書では特に断りがない限り,IPv4を用いて説明します. IPアドレスは133.27.4.210のようにビット列の先頭から8ビットずつをそれぞれ10進数で 表現し,それを`.'でつないで表記します.先ほどのIPアドレスは実際に 10000101000110110000010011010010という値になっています.

IPアドレスの数値変換
図 1.1 IPアドレスの数値変換

サーバなど常時稼働しているコンピュータには IPアドレスを手動で割り当てる必要があります. 一方ラップトップコンピュータのように 常時ネットワークにつながっていないコンピュータもあります. そのようなコンピュータには ネットワークに接続する際だけIPアドレスを割り当てた方が 効率的にIPアドレスを利用できます. コンピュータに対して一時的にIPアドレスを貸し出す仕組みを `DHCP' (Dynamic Host Configuration Protocol) といいます. CNS ではラップトップコンピュータでネットワークに接続するときは,DHCPを使ってIPアドレスを借ります. この手続きは基本的に自動で行われるので,IPアドレスを借りる過程をユーザは意識することはありません. しかし通信がうまくできないときやIPアドレスを借りられない場合があります. その際はユーザが明示的にIPアドレスを借りなおさなくてはなりません. ネットワーク上のIPアドレスの貸し借りを管理しているサーバを``DHCPサーバ''といいます.