LaTeX/LaTeXにおける文書整形の制御/ページスタイル

LaTeXは各ページをページスタイルにしたがって整形します.ページスタイルは,ドキュメントクラスで設定されています.ここではページスタイルに関するコマンドについて説明します.

5.3.1 ページスタイルの種類

ページスタイルは次のものを制御しています.

  • ページ番号の表示の有無
  • ページ番号の表示位置
  • ヘッダの表示の有無
  • フッタの表示の有無

ヘッダとフッタはそれぞれページ上部とページ下部の本文領域外の部分のことで,一般にページ番号や章の標題などが表示されます.表に示すように,LaTeXではこれらの出力を組み合わせたページスタイルを幾つか用意しています.


表: ページスタイル
スタイル 出力
empty ページ番号,ヘッダ,フッタ共に何も出力しない.
plain ページ番号をフッタ中央部に出力する. ヘッダには何も出力しない.
headings ヘッダにドキュメントスタイル依存の文字列と ページ番号を出力する.
フッタには何も出力しない.
myheadings 基本的に headingsと同じ.ヘッダに出力される文字列を\markbothあるいは\markrightコマンドで定義できる.

5.3.2 ページスタイルの変更

ページスタイルの指定と変更をするには\pagestyleおよび\thispagestyleコマンドを用います.文書全体のページスタイルの変更には\pagestyleコマンドを,文書中のある1ページのみの変更には\thispagestyleコマンドを用います.引数には表3.2のいずれかのページスタイルを指定します.例えばページスタイルをplainにするには次のように記述します.

\pagestyle{plain}

また,ある1ページだけページ番号を出力しないようにするには次のように記述します.

\thispagestyle{empty}

5.3.3 ヘッダの指定

headingsmyheadingsといったページスタイルでは,ヘッダ領域に文字列を出力できます.これらの文字列を指定あるいは変更するのが\markbothおよび\markrightコマンドです.\markbothコマンドは偶数ページと奇数ページ両方のヘッダを,\markrightは奇数ページのヘッダのみを指定します.

\markbothコマンド

\markbothコマンドの記述法を次に示します.

\markboth{偶数ページヘッダ}{奇数ページヘッダ}

例えば,偶数ページのヘッダに文書のタイトルである`モンゴルの経済改革''を出力し,奇数ページのヘッダに執筆者の名前``山吹緑''を出力したい場合は,次のように記述します.

\markboth{モンゴルの経済改革}{山吹緑}

\markrightコマンド

\markrightコマンドの記述法を次に示します.

\markright{奇数ページヘッダ}

例えば,奇数ページのヘッダに節番号を出力したい場合は,次のように記述します.\thesectionコマンドは章番号を出力するコマンドです().

\markright{\thesection}

\markboth\markrightコマンドによるヘッダの設定は,次にこれらのコマンドによって再設定されるまで有効です.したがって,ある1ページのみのヘッダを変更したい場合は,改ページ後にもう1度 \markboth\markrightコマンドで文字列をもとのものに指定し直す必要があります.

5.3.4 ページ番号の出力形式

目次や付録などで,本文とページ番号の振り方を変えて出力したいときには \pagenumberingコマンドを用います.これはページ番号の出力位置ではなく,出力形式そのものを変更するコマンドです. \pagenumberingコマンドの取り得る引数のリストを表に示します.


表: ページ出力形式
出力形式 機能
arabic ページ番号をアラビア数字にする
roman ページ番号を小文字のローマ数字にする
Roman ページ番号を大文字のローマ数字にする
alph ページ番号を小文字のアルファベットにする
Alph ページ番号を大文字のアルファベットにする

ページ番号を小文字のローマ数字にする例を次に示します.

\pagenumbering{roman}

\pagenumberingコマンドでページの出力形式を変更するとページカウンタがクリアされてしまい,ページ番号はまた1から振られるようになる.ページ番号を変えずに表示だけを変える方法についてはを参照のこと.また出力形式がalphあるいはAlphのときに,ページ数がアルファベットの上限である26を超えるとエラーとなる.