2.5 広範囲の削除と取り出し

Emacsでは，広範囲のテキストを一度に削除し，それを取り出せる．削除されたテキストは，キルバッファというバッファに保存され，新しいものから順番に取り出せる．

表2.5にキルバッファに関するキー操作を示す．

表 2.5: キルバッファの利用

分類	キー操作	意味
削除	C-k	カーソル上の文字から行末までを削除
	C-w	リージョンの削除
コピー	M-w	リージョンのコピー
取り出し	C-y	キルバッファの内容の取り出し
	M-y	過去のキルバッファの内容の取り出し

1行削除 -- (C-k)

C-kを使うとカーソル上の文字から行の終わりまでを削除できる．このC-kを使って削除されたものは，キルバッファに保存される．キルバッファの中身は， C-yを入力することによって現在カーソルのある位置に取り出せる．また，C-kを連続して入力することによって1度に複数行を削除した場合，削除した行すべてが1つのキルバッファに保存され， C-yで全体を取り出せる．

リージョンの削除 -- (C-w，M-w)

リージョンを削除するためには，C-wを用いる．削除されたテキストはC-kを入力したときのようにキルバッファに保存される．M-wを用いると，リージョン内のテキストを削除せずに，キルバッファに保存できる．

キルバッファの取り出し -- (C-y)

テキストを削除したところから別の位置までカーソルを移動して，C-yによって削除したテキストの内容を取り出せば，テキストを別の場所に移動できる．また，C-yを連続して入力することによって削除したテキストを複製できる．

過去のキルバッファの取り出し -- (M-y)

C-kを入力する度にキルバッファの内容は更新されるが，Emacsは以前のキルバッファの内容を保存している．C-yに続けてM-yを入力することにより，以前のキルバッファを取り出せる．このM-yを連続して入力すると過去のキルバッファの内容をさかのぼって取り出せる．