一般にネットワーク上の他のコンピュータを遠隔利用するとき,遠隔利用するコンピュータのことをリモートホストと呼び,自分が実際に利用しているコンピュータのことをローカルホストと呼ぶ.CNSにはサーバマシンと呼ばれる特別な機能を持つホストが存在する.自分がログインしているホストに作業に必要なアプリケーションがインストールされていないときは,用途に応じてサーバマシンで作業を行う.
rloginコマンドは,`remote login'の略であり,リモートホストにログインするときに使用する.rloginと入力した後にホスト名を指定してrloginコマンドを実行し,パスワードを入力すると指定したリモートホストにログインできる.この際,.cshrc, .loginファイルが読み込まれる.ネットワーク上にあるコンピュータとその機能については第I部 1.2を参照すること.次に書式を示す.
% rlogin [ホスト名]<RET>
次にm73からccz00へのリモートログインの実行例を示す.
% hostname<RET> m73 % rlogin ccz00<RET> Password: <RET> Last login: Fri Feb 19 17:57:28 from m73 Sun Microsystems Inc. SunOS 5.6 Generic August 1997 % hostname<RET> ccz00 % _
リモートログインしているホストからログアウトするときには,logoutコマンドを実行する.
% hostname<RET> ccz00 % logout<RET> logout Connection closed. % hostname<RET> m73 % _
[ホスト名]をlocalhostに指定すると,現在使用しているホストにログインできる.また,現在とは異なるアカウントでリモートホストにログインする場合には,-lオプションに続けてログイン名を入力して実行する.次に書式を示す.
% rlogin [ホスト名] -l [ログイン名]<RET>
次の例ではCNSとは異なるアカウントでリモートホストにrlogin している.
% hostname<RET> ccz00 % whoami<RET> t99000tf % rlogin picasso.guide.ac.jp -l tarou<RET> Password: <RET> Last login: Fri Feb 19 17:57:28 from m73 Sun Microsystems Inc. SunOS 5.6 Generic August 1997 % hostname<RET> picasso.guide.ac.jp % whoami<RET> tarou % _
telnetコマンドは,rloginコマンドと同様に,リモートホストにログインするときに使用する.telnetはTELNETプロトコルを実装しているソフトウェアであれば,UNIXマシンに限らずリモートホストにログインできるため,WindowsやMacintoshにも実装されている. telnetを利用するには,次のように入力する.
% telnet<RET>
telnetコマンドを実行するとtelnetプロンプト(telnet>)が表示されるので,openコマンドに続けて相手先ホスト名を入力する.
telnet> open [ホスト名]<RET>
openコマンドを実行した後,ログイン名とパスワードを入力するとリモートホストにログインできる.
次に,ccz00へのtelnetによるリモートログインの実行例を示す.
%telnet<RET> telnet>open ccz00<RET> Trying 133.27.2.37... Connected to ccz00. Escape character is '^]'. UNIX(r) System V Release 4.0 (ccz00) login:99000tf}{<RET> Password: <RET> Last login: Fri Feb 19 17:57:28 from m73 Sun Microsystems Inc. SunOS 5.6 Generic August 1997 %
rloginコマンドやtelnetコマンドは,リモートホストにログインするときにパスワードを入力する.入力したパスワードはネットワークを通じて平文でやり取りされるので,インターネットを通じてリモートホストにログインする場合などは非常に危険である.
そこで,情報を暗号化してリモートホストにログインできるようにしたのがsshである.sshを利用することで,パスワードだけでなくログイン後の通信内容も暗号化されて送られるので,安全にリモートホストと通信できる.次に書式を示す.
% ssh [ホスト名]<RET>
次にccz00へのsshによるリモートログインの実行例を示す.
%ssh ccz00<RET>
t99000tf's password: <RET>
Sun Microsystems Inc. SunOS 5.6 Generic August 1997
%
sshコマンドもrloginコマンドと同様に,異なるアカウントでリモートホストにログインできる.次に書式を示す.
% ssh [ホスト名] -l [ログイン名]<RET>
次の例では,CNSとは別のアカウントのホストへsshでログインしている.
%ssh picasso.guide.ac.jp -l tarou<RET>
tarou's password: <RET>
Sun Microsystems Inc. SunOS 5.6 Generic August 1997
%
Windows環境のコンピュータからUNIXホストにログインするには,TELNETサービスを利用する.ここでは,Windows環境でTELNETサービスを利用できるWindows標準付属のtelnet.exeと,フリーウェアのTera Term Proの操作方法を説明する.
ここではWindows標準付属のtelnet.exeの起動,ログイン,終了などの操作方法を説明する.
スタートメニューから[ファイル名を指定して実行(R)]を選択して表示されたウィンドウ(図3.1)の`名前(O)'欄にtelnetと入力して[OK]を押すと,telnet.exeが起動する.
起動後,図3.2のようにしてログイン先のホスト名を指定してログインする.
logoutコマンドを使ってUNIXホストからログアウトする.telnet.exeのウィンドウを閉じるには,メニューバーから[接続(C)]→ [TELNETの終了(X)]を選択する.
正常にログアウトできない場合は,メニューバーから[接続(C)]→[切断(D)]を選択して切断する.
Tera Term Proは,T.Teranishi (teranishi@rikaxp.riken.go.jp) 氏によるフリーウェアである.Tera Term ProとRobert O'Callahan (roc+tt@cs.cmu.edu) 氏によるフリーウェアであるttsshを利用することで,sshを使用できる.
ここでは,Tera Term Proの起動,ログイン,終了などの操作方法を説明する.
デスクトップ上のTera Term Proアイコンをダブルクリックするか,スタートメニューから[プログラム(P)]→[Tera Term Pro]を選択すると,Tera Term Proが起動する.
起動後,図3.3のようにしてログイン先のホスト名を指定してログインする.
logoutコマンドを使ってUNIXホストからログアウトする.TeraTerm Proのウィンドウも自動的に閉じる.
MacintoshからUNIXホストにログインするときは,NCSA Telnet (以下,Telnetと表記)を利用する.
アイコンをダブルクリックするとTelnetが起動する.
Telnetを終了するには,まずTelnetで接続しているホストからlogoutコマンドでログアウトする.次に,メニューバーから[File]→[Quit]を選択してTelnetを終了する.ログアウトできない場合は,ウィンドウ左上端のクローズボックスをクリックするか,メニューバーから[File]→[Close]を選択すると,`Are you certain youwant to close the connection to ....?' というメッセージが表示されるので,そこで[OK]ボタンを押す.
Telnetウィンドウに文字化けが起こり,コマンドの実行が不可能になることがある.その場合はメニューバーから[Session]→[Reset Terminal]を選択して<RET> を何度か押すと,新たにプロンプトが表示される.
リモートログインしたホストで新しくウィンドウが表示されるようなアプリケーションを利用する際には,事前にxhostコマンドとsetenvコマンドで必要な設定を行う.ただし,CNSのWindows環境やMacintosh環境ではX Window Systemを利用したアプリケーションの表示ができないので,muleに`&'をつけて起動してはいけない.同様に,その他のX Window Systemを利用したアプリケーション(xclock, xbiff,xvなど)も表示できないので注意すること.共同購入のラップトップコンピュータにおいてはASTEC-Xを利用して.X Window Systemを利用したアプリケーションを表示できる.
ここでは,ホストm73からccz00にリモートログインしてnetscapeを利用する場合を例に,xhostコマンドとsetenvコマンドによる設定の手順と方法を説明する.
% hostname<RET> m73 % xhost +ccz00<RET> ccz00 being added to access control list % rlogin ccz00<RET> Last login: Fri Feb 19 16:44:50 from m73 Sun Microsystems Inc. SunOS 5.6 Generic August 1997 % hostname<RET> ccz00 % setenv DISPLAY m73:0.0<RET> % netscape &<RET> % _
xhostコマンドを利用して,リモートホストで実行するX WindowSystem アプリケーションをローカルホストのディスプレイへの表示を許可,拒否する設定を行う.xhostの使い方には次の3通りがある.
xhost + | すべてのホストに許可を与える |
xhost - | すべてのホストを拒否する |
xhost +[ホスト名] | 指定したホストだけに許可を与える |
xhost +ccz00を実行すると,m73はccz00が実行するX WindowSystem アプリケーションをm73のディスプレイに表示することを許可する.このコマンドは,リモートホストにログインした後でもローカルホストのターミナルウィンドウで実行すればよい.
rloginコマンドを利用してリモートログインする.リモートログインの方法については第III部 3.1を参照すること.
環境変数DISPLAYはリモートホストにログインしてから
setenvコマンドを利用して設定する.環境変数DISPLAYは,X Window System アプリケーションを,表示するホストとディスプレイを指定するための環境変数である.リモートホストのX Window Systemのアプリケーションをローカルホストのディスプレイに表示するには,環境変数を`ローカルホスト名:0.0'に設定する必要がある.このとき,ホスト名と`:0.0'の間に空白をあけてはいけない.例えば,%
setenv DISPLAY m73:0.0を実行すると,XWindow Systemアプリケーションの表示先がm73というホストのディスプレイに設定される.